ロンドンのJiffyが3.9億円のシード投資を調達しダークストア競争に参入

また新たなオンライン食料品宅配と「ダークストア」を運営する業者が、米国時間3月16日に姿を現した。ロンドンを拠点とするJiffy(ジフィー)だ。生鮮食料品と生活必需品をほぼ15分以内に配達することを目指す同社は、260万スターリング・ポンド(約3億9000万円)のシード投資を調達し、サービス開始の準備を整えた。

すでに多額の投資に支えられた数多くの競合他社と対峙しているこの新興企業を支援するのは、ベンチャー投資ファンドLVL1 Group。その他、AddVenture、TA Ventures、Vladimir Kholiaznikov(ウラジミール・コリアズニコフ)氏そしてエンジェル投資家のOskar Hartmann(オスカー・ハートマン)氏、Alexander Nevinskiy(アレクサンダー・ネビンスキー)氏、Dominique Locher(ドミニク・ロッカー)氏がラウンドに参加している。

Jeffyは、この資本注入で、早ければ2021年3月中にロンドンに最初の店舗を立ち上げると話している。サービス対象地域はウェストミンスター、ウォータールー、ラムベス、バタシー、クラパム・タウン、ショアディッチ、ベスナル・グリーン、ハックニー、ホワイトチャペル、ステップニー・グリーン、レイトンストーンとなる。

同社はそれに続き、2021年後半には英国全土に20カ所のローカルフルフィルメントハブを開設する予定だ。すでに次の資金調達に動き出しているものと思われる。そのセールスポイントとして、Sainsbury’s(セインズベリーズ)やDeliveroo(デリバルー)の元マネージャーなど、オンラインおよびオフラインの小売り業に精通した幹部チームにスポットを当てているようだ。

「私たちは、火星行きチケットも買える2021年に暮らしていますが、欲しいときに欲しい食料品を手に入れることが、いまだにできません」とJiffyの創設者Artur Shamalov(アーター・シャマロフ)氏は話す。シャマロフ氏は、これまでに食料品と配達分野でいくつもの企業を立ち上げてきた人物だ。「食料品のオンラインショピングには、英国のほぼすべての消費者がフラストレーションを感じています。何日も何週間も予約枠が埋まっていたり、特別料金を取る高速サービスでさえ2時間も待たされることはざらです。それは間違っていると私たちは考えています。食料品は、実店舗で買うときと同じぐらい便利で安くなければいけません。そこに超高速配達サービスの利便性も不可欠です」。

それを実現するために、シャマロフ氏は、昔ながらの毎日利用する食料品店を一部肩代わりできると確信するサービスをJiffyが構築するのだと話す。つまり、多種多様な果物、野菜、肉、調理食品、人気ブランドや地元メーカーの生活必需品などを、1店舗につき総製品範囲2000SKUを「超える」商品を提供するということだ。

「私たちの目標は、仕事や子育てや社会活動に追われる忙しい親から、必要な買い物のために工面した時間が、心底楽しめる自由時間となる都会の忙しい職業人まで、非常に幅広いオーディエンスにとって、できる限り便利なもサービスを作ることです」とJiffyの創設者は話す。「また私たちは、近ごろスーパーに買い物に行くことを不安に感じる弱い立場の人たちのことも考慮しています。そうした人たちに、パンや牛乳が切れたときのことを心配させたり、注文したものが届くのを何時間も何日間も待たせたりしてはいけないのです」。

Jiffyは、食料品や日用品を購入してから10〜20分間で配達することを約束し資金調達したヨーロッパの数多くのスタートアップに仲間入りすることになる。それらの企業は、配達地域を小さく限定して、配達専用のフルフィルメントセンター、いわゆる「ダークストア」を設け、専属の配達要員を雇い入れることでそれに対処している。同社が提供するこのフルスタックまたは垂直アプローチと高い視認性が、まだまだ実証はされていないが、ユニットエコノミクスを実現する十分なサプライチェーンの創出と効率的な物流につながるものと期待される。

明確にはされていないが、そうした企業は増え続けており、その中には、エクイティーと融資の混合で5200万ドル(約56億7000万円)のシード資金を調達したベルリンのFlink(フリンク)、シリーズA投資4400万ドル(約48億円)を調達し、ドイツ、オランダに続いてこのほどロンドンに進出したベルリンに本社を構えるGorillas(ゴリラズ)、その他ロンドンで営業している企業には、Weezy(ウィージー)、Getir(ゲッティアー)、Dija(ディジャ)、Zapp(ザップ)がある。米国のユニコーン企業goPuff(ゴーパフ)もヨーロッパ進出を計画し、英国のFancy(ファンシー)の買収または投資を交渉中だと伝えられている。

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このモデルは何よりもインフラが重要な役割を果たすため、土地の確保だけでなく、資本の確保も欠かせない。店舗を建設し、ロスリーダーを使った集客キャンペーンには多額の資金が必要になる。すでにロンドンでは盛んに行われるようになっているが、そした競合他社と対照的にJeffyは、サービス開始前ながら資金が足りていないように見える。

「資金不足だとは思っていません」とシャマロフ氏は反論する。「資金提供者の希薄化を考慮し、また実現困難な約束でチャンスを逃すよりは一歩ずつ着実に会社を築いていくほうが効率的だとの考えからすれば、私たちは計画どおりの資金を調達しています」。

「多額の資金を調達し、企業買収と拡張に過剰なまでの支出を行えば、自動的にこの業界で大成功できるという考えには、必ずしも同意しません。ごく限定的な地域を対象とするビジネスモデルでは、あらゆるものが地域限定のアプローチとなります。そのため私たちは、グローバルな展開ではなく、1つの市場の中での拡大に重点を置いています」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Jiffyフードデリバリーイギリス資金調達

画像クレジット:Jiffy

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(文:Steve O’Hear、翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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