不動産テックのスタートアップであるすむたすは8月22日、売り主からマンションを直接購入できる「すむたす直販」のサービスを開始した。
マンションの購入を売却を希望する再販業者と購入を希望するユーザーが、それぞれ仲介手数料なしで中古マンションを売買できるというサービス。中古マンションを購入する際、買い主は売り主と専属媒介契約もしくは一般媒介契約を結んだ不動産業者から購入することが多く、成約時にはマンション販売価格の3%程度を支払う必要がある。つまり、3000万円の物件の場合、実際に購入する際は約3100万円+登記費用などがかかるわけだ。
すむたす直販では、首都圏エリアを中心に8月22日現在で106件の中古マンションが揃っている。物件の所有者は、すむたすのほか、グローバルベイスやホームネットといった大手不動産買取再販会社で、9割は大手不動産買取再販会社の物件となる。同社によると2019年末までに、掲載物件を3倍の300件に、参画企業数を30社に、マッチング(内見問い合わせ)を60件という目標を目指すとのこと。将来的には中古マンションだけでなく、戸建てや土地などの対応不動産も増やす計画だ。
同社は、すむたす直販のサービス単体でのマネタイズは考えておらず、将来的にも買い主や売り主である不動産買取再販会社から手数料を取ることはないとのこと。このサービスを自社物件売買の活発化に繋げるのが狙いで、年間で20件ほどの自社物件を販売することを目指す。なお売り主として個人は想定しておらず、買取再販会社を中心とした法人を対象とする。
現在のところ買取不動産は、仲介が必要な一般的な中古不動産とまとめて大手仲介会社の物件情報サイトに掲載されており、買取不動産だけを一覧できるサービスは存在しないとのこと。一方、市場に流通している中古マンションの20%強が買取再販不動産であり、すむたすが仲介手数料がすべて無料の買取再販不動産のポータルを開設することで、これらの不動産の一覧性と認知度を上げる狙いもある。
すむたすは2018年10月に「すむたす買取」というサービスを開始。一般的に中古マンションは、売り主が仲介会社に売却を委託して買い主を探してもらう媒介契約を結び、売り主は仲介会社が査定した売却金額を基に実際の売値を決めて売り出すという流れだ。すむたすは中古マンション専門の買い取り業者として、不動産売買データベースであるREINS上の売買情報に加え、過去30年ぶんの首都圏の不動産取引のデータベース、独自のアルゴリズムを駆使して査定金額を最短1時間で算出する。
そして実際に売却を依頼されると最短で2日後には指定した銀行口座に現金が振り込まれるというのがすむたす買取のサービスだ。同社は、買い取り価格と販売価格の差額を利益としてマネタイズする。前述のグローバルベイスなどは買取不動産の配管までをフルリノベーションすることで1000万円以上の付加価値を付けて販売しているが、すむたすがリノベーションするのは壁と床と天井程度。同社は付加価値を上げることよりも物件の回転率を重視しており、平均190日ほどかかる買取再販不動産の売却期間を半分に圧縮し、所有物件を高回転で買取・売却するビジネスモデルを採っている。