中国国営ニュースメディアの新華社通信が、AIニュースキャスター2名をデビューさせました。その見た目は実在のキャスターをかなり忠実に再現したものになっています。
2名のAIキャスターのうち英語を担当するほうは「こんにちは。私は英語を話すAIアンカーです。これは新華社通信における私の初仕事です」と自己紹介をします。このキャスターは実在のニュースキャスターZhang Zhao氏をモデルにしているとのこと。ただ、ヴィジュアルは十分にリアルでありつつ、その動き、特に表情などは緊張しているのか(?)ぎこちなさが目立ち、いわゆる不気味の谷を越えるには至ってはいないように感じられます。
一方、もうひとりのAIキャスターは中国語担当。モデルはやはり実在のQiu Hao氏をモデルとしています。こちらの外見も、本物よりもバッチリ決まったソフトアイパーといい、ふっくらした輪郭といいかなりのもの。
いずれもAIを用いて唇の動きや表情、そして声を本物に近づけるよう訓練されてきたとのこと。ただ、その割にはキャスターの命とも言えるその声に、まだまだ電子合成感が残っているのは残念なところです。
このAIキャスターを見た中国版TwitterことWeiboにおけるユーザーの反応も「声も表情もギクシャクしている」「間が悪い」など、あまり好意的ではない様子。「これを見て誰が喜ぶのか?私は人間が喋っている方がいいと思う」という意見もあれば、一方で「モデルになったキャスターは解雇されたらしい」という不穏な書き込みもあったと、英タブロイド紙のオンライン版Mail Onlineは伝えています。
ただ新華社は、これによってニュースの制作費を削減しつつ速報性の向上も期待できるとそのメリットを説明しており、このAIキャスターを公式サイト/アプリやSNSなどに配置し、週休ゼロ日・シフトなしで24時間ビシバシ働かせる意気込みです。もちろん、非実在キャスターであるためどれだけ働かせても疲れることはなく、人権侵害で海外から批判される心配もありません。
なお、記事執筆時点でTwitterの新華社のアカウントをざっと見てみた限りでは、AIキャスターは自己紹介のあと2本ばかりニュースを読んだものの、その後はまた従来形式の人が読むニュース動画の投稿になっているようです。
The 5th World Internet Conference is now underway in China’s Hangzhou city. At a sideline exhibition, the online app — “AR-Museum” — is bringing antiques to life. pic.twitter.com/0Nv7YlZleC
— China Xinhua News (@XHNews) 2018年11月8日
Engadget 日本版からの転載。