中国では仮想通貨取引所やICOが禁止されているが、同国政府はそれらの基盤となるテクノロジーを活用する方向に向かっている。 多くの場合、分散型、という部分を除いて。例えばブロックチェーンは、高級品の出荷を追跡したり、裁判所の証拠を認証したりするのに役立つかもしれない。中国は自国の利益のためにブロックチェーン・アプリケーションを導入する過程で、この新技術の世界的リーダーになりたいと考えている。
昨年中国では、政府が支援する野心的なブロックチェーンインフラネットワークが立ち上がった。Blockchain-based Service Network(BSN)は、ブロックチェーンプログラムのオペレーティング・システムとして機能するため、開発者は一からフレームワークを設計する必要がない。重要なのは、これが業界標準を設定し、世界中のブロックチェーン・アプリケーションのための基盤となるインフラを構築するという国家的な目標の一部であることだ。
BSNのブレーンは、中国のトップ経済・改革プランナーである国家発展改革委員会の関連シンクタンクState Information Center(国家信息中心)、クレジットカード処理大手のUnionPay(中国銀聯)、テレコムキャリアのChina Mobile(中国移動通信)、そしてあまり知られていないが中国でスマートシティ技術の構築に携わってきた、北京を拠点とするスタートアップのRed Date(红枣科技)だ。
ブロックチェーンは大きく2つのタイプに分けられる。パブリックで分散型、透明性のあるパーミッションレス(Permissionless/自由参加型)と、特定業界の1つまたは複数の利害関係者によって運営されるパーミッションを必要とするもの(Permissioned/許可型)で、後者はプライベート・ブロックチェーン、コンソーシアム・ブロックチェーンと呼ばれる。
BSNは、コンソーシアム・ブロックチェーンとパブリック・ブロックチェーンの両方をサポートするグローバルなインフラとして設計されていると、昨年3月に発表されたホワイトペーパーで述べている。「インターネットと同様に、BSNもまた、クロスクラウド、クロスポータル、クロスフレームワークのグローバルインフラストラクチャネットワークである」。
dAppデベロッパ向けに英語版のウェブサイトが公開されており、Ethereum(イーサリアム)、EOS、Tezos、NEOなどの大手パブリックチェーンはすでにネットワーク上にノードを持っている。
現在、BSNはインフラのよりプライベートな部分に取り組んでいる。今週、同プロジェクトはCosmosの許可型バージョンをロールアウトすると発表した。2019年に公表されたCosmosは、多くの独立したブロックチェーンで構成されたネットワークで、自らを「ブロックチェーンのインターネット」と称している。
Cosmosをベースにしたチェーンの開発作業は中国のブロックチェーンスタートアップであるBianjie(智能科技)によって行われ、その許可型チェーンの名前は、中国初のブロックチェーンパイロットゾーンがある中国最南端の海南省の都市、文昌(WenChang)にちなんで付けられた。
WenChang Chainの意図は、「コンソーシアム・ブロックチェーンアプリケーションの低コストでの開発、実装、運用、メンテナンス、規制を可能にする公共インフラネットワーク」を提供することにある、とBianjieは発表の中で述べている。
世界中のデベロッパが、BSNを介してWenChangチェーン上でdAppsを展開することが可能となり、同時に中国の規制に準拠したdAppsを提供できるようになった、とBianjieの広報担当者はメールで説明した。
「このような形で、彼ら(世界各国のデベロッパ)のdAppsは多くの中国ユーザーを獲得し、中国市場に参入することが可能になります」。
WenChang Chainは、企業向けサービスだけでなく、B2C、C2Cのプログラムも対象としている。例えば、消費者向けのeチケットのdAppであるUptickはまもなく、同チェーン上で最初のdAppになるとBianjieの広報担当者は述べている。
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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:中国
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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)