中国のAI・顔認識大手SenseTimeが香港でのIPOを準備中

中国最大級のAIソリューションプロバイダーであるSenseTime(商湯科技開発有限公司、センスタイム)は、IPOに向けて一歩前進した。メディアの報道によると、SenseTimeは香港証券取引所に上場するための規制当局の承認を受けた

2014年に設立されたSenseTimeは、Megvii、CloudWalk、Yituと並んで中国の「四大AIドラゴン」と総称されている。2010年代後半、SenseTimeのアルゴリズムは、現場のデータを実用的な洞察力に変えることを望む企業や政府から多くの需要があった。同社のAIモデルを組み込んだカメラは、24時間体制で街を監視している。ショッピングモールでは、同社のセンシングソリューションを利用して、施設内の混雑状況を追跡・予測している。

SenseTimeのライバル企業3社は、いずれも中国本土か香港での株式売却を検討している。Megviiは、香港証券取引所への申請が失効した後、中国のNASDAQ式証券取引所、STAR Board(科創板)への上場を準備している。

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中国のデータリッチなテック企業が海外で上場する道は狭まっている。北京は、機密データを持つ企業が中国国外で上場することを難しくしており、欧米の規制当局は、大量監視を助ける可能性のある顔認証企業に対し慎重な姿勢をとっている。

しかしここ数年、中国のAI新進企業は世界中の投資家から求められていた。2018年だけで、SenseTimeは20億ドル(約2300億円)以上の投資を集めた。これまでに同社は、12回のラウンドを通じて52億ドル(約5982億円)という驚異的な額の資金を調達している。最大の外部株主には、SoftBank Vision Fund(SVF、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)とAlibaba(アリババ)のTaobao(淘宝、タオバオ)が含まれている。ロイター通信によると、SenseTimeは香港での株式公開にあたり、最大20億ドル(約2300億円)の資金調達を計画しているという。

目論見書によると、SenseTimeは資本の大部分を研究開発に費やしており、2018年から2020年の間に50億元(7億8000万ドル、約897億円)以上の費用がかかっている。同社は過去4年間、純損失を計上しており、その主な原因は「優先株式の公正価値損失」である。その純損失は2021年の上半期に37億元(約666億円)に達した。6月時点での赤字総額は230億元(約4139億円)に迫る。

同業他社と同様に、SenseTimeは「スマートシティ」プロジェクトを収益化の柱としており、6月までの半年間の総売上高16億5000万元(約297億円)のうち、47.6%を占めている(2020年同期は27%)。同社の目論見書によると、SenseTimeのソフトウェアプラットフォームを利用している都市の数は、6月までに119に達した。

商業施設や賃貸マンションなど、企業のニーズに合わせた「Smart Business」ラインは、2021年上半期の収益の約40%を占めた。同社は残りの収益を、IoTデバイスに供給する「Smart Life」部門と、知覚知能を自律走行ソリューションに適用する「Smart Auto」から得ている。

画像クレジット:Gilles Sabrie/Bloomberg via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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