中国テック業界の最新の動きダイジェスト版、TechCrunchの中国ラウンドアップへようこそ。今週はAlibaba(アリババ)の急成長中のクラウドコンピューティング部門の動き、Apple(アップル)が中国のApp Storeからのポッドキャストアプリ2つを削除したニュースなどを紹介する。
中国企業の海外での動き
TikTokを取り巻くライバル
2020年5月にリリースされてからわずか数週間でダウンロードチャートのトップに躍り出たTikTokのライバルZynnが今週、盗作の疑いでGoogle Playから削除された。TikTok中国版のDouyin(抖音)の手強いライバルKuaishou(快手)が開発したZynnは、国際マーケットをたちまち魅了したTikTokに続く中国産のアプリだ。
今週初めに発表された声明文の中で、Kuaishouは他のプラットフォームからの盗作で、ユーザーが作ったビデオについての1件の苦情によってアプリが削除されたと述べた。ベンチャーキャピタリストのTurner Novak(ターナー・ノバック)氏はZynnの初期のコンテンツは、TikTokから抽出されたもののようだ(ターナー氏ブログ)との見方を示した。
しかしZynnの人気の主な要因は、報奨制度だ。Zynnは同アプリを使用したり促進したりするユーザーに金を払う。中国の地方や人口の少ない町で人気を集める戦略だ。 Nasdaq(ナスダック)に上場しているコンテンツアグリゲータのQutoutiao(趣頭条)も成長するために同じ戦略をとった(未訳記事)。従量支払いの戦略が持続可能かどうかはまだわからない。Zynnは、コンテンツを充実させるために「セレブリティレベル」のクリエイターと話せる、とうたうなど、明らかに他の手段を通じてユーザーをつなぎ留めようとしている。
Alibabaは販促目的でグローバルインフルエンサーをハント中 (未訳記事)
インフルエンサーはこのところ引っ張りだこだ。インフルエンサーのライブプロモーションを通じてeコマースの販売を促進しようという戦略を展開した後、Alibabaはこのモデルを中国外マーケットにも持ってくることを決めた。そうして同社の国際マーケットプレイスであるAliExpressで販売されているプロダクトの販促を手伝う最大10万人のコンテンツクリエイターを募集する案内を出した。
中国が国内で最も貧しい省の1つ貴州省を、Apple中国を含む(未訳記事)多くのクラウドサービスを集めたテックハブにしたことを多くの人が知っているだろう。そして現在、中国はチベットをもう1つのクラウドコンピューティングセンターに変えている。主要プロジェクトの1つは、中国・南アジア間のデータ交換に対応する広さ64万5000平方メートルものデータ施設だ。
中国国内での動き
OSとしてのDingtalk
今週開かれた年次サミットで、Alibaba CloudはSlackに酷似のAlibabaの作業コラボアプリDingtalkにクラウドを搭載するための最新戦略を繰り返した。スローガンから察せられるAlibabaがDingtalkに期待している戦略的役割は、Alibaba Cloud上でのOS構築だ。Alibaba CloudはAmazon(アマゾン)とMicrosoft(マイクロソフト)に続いて世界で3番目に大きいサービスとしてのインフラだ(Alibaba Cloudリリース)。Microsoft 365とAzureのような互いを反映し合う関係だ、とAlibaba Cloudの社長であるZhang Jianfeng(張建峰)氏は以前インタビューで述べた。
しかし当初法人向けだったDingtalkは仕事や教育、政府サービス向けに作られた数多くのサードパーティのオールインワンプラットフォームに発展した。例えば、文部科学省はDingtalkを通じて簡単に生徒や保護者にアンケートをとることができる。Dingtalkはいまや1500万もの組織と個人ユーザー3億人にサービスを提供している。
Dingtalkの統合に加え、Alibaba Cloudはネットワークやデータベース、人工知能などの分野で成長するために、今会計年度にエンジニア5000人を採用すると話した。
この新規採用は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックを事業者が受け入れるにつれビデオ会議やライブストリーミングのようなサービスに対する需要が増大するなかで、データインフラをさらに構築するために今後3年間で2000億元(約3兆円)を注入するとAlibabaが2020年4月に明らかにした後に発表された。
Appleがポッドキャストアプリを削除
ポッドキャストが中国で普及する中で、独立したコンテンツクリエイターに人気の海外ポッドキャストアプリがAppleのApp Storeから削除された。2019年6月頃に、Appleポッドキャストプラットフォームで中国語のポッドキャストを対象に実施された取り締まりを反映している。
投資家のお気に入りアプリが復活
アプリの削除といえば、今週、中国の多くのベンチャーキャピタリストやプロダクトマネジャーがJike (即刻)の復活を祝った。中国のテック関係者の間で愛用者が多いソーシャルメディアのJikeは1年ほど前にアプリストアから姿を消した。はっきりとした理由は示されなかったが、多くの人が検閲によるものと推測している。
JikeはReddit(レディット)とTwitter(ツイッター)を掛け合わせたようなアプリで、ユーザーは関心や話題性に基づいてコンテンツを発見したり、コネクトしたりできる。多くのVCやインターネット企業の従業員がゴシップを交換したり、ホットな話題を共有したりするのに使っている。このアプリの死活は中国で操業しているテック企業が直面している厳しい監視の不確実さを思わせるものだ。
香港上場の動き
中国と米国の政府が論争を繰り広げる中、米国に上場している最大の中国企業の2社が、香港で二次上場した。Tencent(テンセント)に次ぐ世界第2位のゲーム企業NetEase(ネットイーズ)は上場初日、公募価格から6%増の130ドル(約1万3960円)をつけた(South China Morning Post記事)。Alibabaの最大のライバルであるJD.comは公募価格を1株あたり226ドル(約2万4270円)にしたようだ。
半導体メーカーEswinが2.8億ドル(約305億円)を調達
中国の大手ディスプレイテック企業BOE Technologyのトップが創業した半導体企業Eswin(エスウィン)は、中国政府がチップ国内生産を推奨する中、かなりの額の資金を調達した。
画像クレジット:Chesnot / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)