中小企業の事務管理のすべてをサポートするPilotがベゾス氏の投資ファンドから資金を獲得

スタートアップにとって最大の弱点の1つは簿記や税金の管理のような事務管理業務だ。

QuickBooks(Intuit社の会計ソフトウェア)はそうした弱点を常に取り除くわけではないようだ。

共同創業者のWaseem Daher(ワシーム・ダヘーア)氏、Jeff Arnold(ジェフ・アーノルド)氏、Jessica McKellar(ジェシカ・マクケラー)氏は事務管理サービスを手頃な価格でスタートアップや中小企業に提供することを使命としてPilot(パイロット)を立ち上げた。1000社超の顧客を抱え、Pilotは長年かけて大きな牽引力を獲得した。そして同社は今、著名な投資家のお墨つきも得た。同社は米国時間3月26日、評価額をこれまでの2倍の12億ドル(約1315億円)とする1億ドル(約109億円)のシリーズCを発表した。

Amazon創業者であるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏の個人的な投資ファンドBezos ExpeditionsとWhale Rock Capital(100億ドル、約1兆960億円のヘッジファンド)が共同でシリーズCラウンドをリードし、Sequoia CapitalやIndex Ventures、Authentic Venturesも参加した。

2019年4月の4000万ドル(約43億8400万円)のシリーズBラウンドはStripeとIndex Venturesが共同でリードした。最新ラウンドにより、Pilotの2017年の最初の資金調達以来の累計調達額は1億5800万ドル(約173億1900万円)超となった。

創業チームはもちろんすばらしい実績を持っている。以前、会社2社を創業し、売却した。Oracleに売却したKspliceと、Dropboxに売却したZupliだ。

Pilotのセールスポイントは、ただのソフトウェア以上のものであることだ。同社はフルスタックの財務チームを持たない中小企業へ「CFOサービス」などを提供するために、ソフトウェアと会計士を組み合わせている。また、すべての簿記顧客のために月次の差異分析も提供しており、本質的にそうした企業にとってPilotはコントローラーとなるため、顧客は予算や支出に関してより良い決断を下すことができる。

Pilotはまた、企業がもしかすると知らないままだったかもしれない中小企業向けの税額控除へのアクセスもサポートする。

同社は2020年、売り上げが出る前の企業から年間売上高が3000万ドル(約32億8800万円)を超える比較的大きな企業に至るまで、顧客のために簿記取引30億ドル(約3288億4200万円)を完了させた。顧客にはBolt、r2c、Pathriseなどが含まれる。

PilotはまたAmerican Express、Bill.com、Brex、Carta、Gusto、Rippling、Stripe、SVB、Techstarsといった企業と共同マーケティングパートナーシップを締結した。

皮肉なことにPilotは「中小企業の事務管理のAWS」を目指すと話している(実際、共同創業者のダヘーア氏は自身のキャリアをAmazonでのインターンから始めた)。簡単に言えば、Pilotは企業が成長やビジネス獲得に一層注力できるよう、すべての事務管理を引き受けようとしている。

ダヘーア氏によると、Pilotは「格別の顧客体験」を提供しようと努力している。これは、同社のビジネスの80%超が顧客のクチコミとオーガニックな関心によるものという事実に表れている。

Whale RockのパートナーであるKristov Paulus(クリストフ・パウラス)氏は、最高のサービス体験とPilotの「慎重に設計された」ソフトウェアはパワフルな組み合わせだ、と話した。

「AWSがクラウドでそうであるように、事務管理サービスを使いやすく、スケーラブル、そしてユビキタスなものにするというPilotのビジョンをサポートするのを楽しみにしています」同氏は述べた。

Pilotのモデルは、サービスを停止する1年前に1億ドルを調達したオースティン拠点のスタートアップScaleFactorのモデルを思い出させる。しかしPilotは顧客を満足させているとみられる点で異なる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Pilot資金調達事務

画像クレジット:Cattallina / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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