この秋は、ディズニーのストリーミングの野望には優しくはなかった。第4四半期のDisney+(ディズニープラス)の加入者数は210万人にとどまり、合計1億1810万人となった。この数字は、同社がすでに慎重に見積もっていた数字(数百万人前半)とほぼ一致しており、総顧客数は前年同期比で60%増加しているが、一部のアナリストの予想を大きく下回っている。CNBCは、StreetAccount(ストリートアカウント)が今期の新規ユーザー数を940万人と予測していたことを指摘している。
ディズニーのストリーミング配信事業Direct-to-Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)部門は、制作費、マーケティング費、および「技術コスト」の増加などにより、前年が3億7400万ドル(約426億円)だったのに対して6億3000万ドル(約718億円)の損失を計上した。これらは、サービスの拡大から予想されていたが、Disney+がサービス開始から2年経過してもなお、ディズニーにとって純利益をもたらしていないことを示唆している。同社のチーフBob Chapek(ボブ・チャペック)氏は、決算説明会において、加入者数の目標(2024年9月までに2億3000万人以上のユーザー)を達成し、利益を出すことに依然として自信を持っていた。
同社は「逆風」を警告していた。この問題について当初はあまり触れていなかったが、重荷を担う「モンスターズ・ワーク」や「ホワット・イフ…?」などのシリーズはあったが、Disney+にとって比較的静かな夏だった。また「ブラック・ウィドウ」と「ジャングル・クルーズ」という2本の大ヒット映画を配信したが、オリジナル映画はあまり強みにはならなかった。
秋に向けて、状況は明るくなってきている。Disney+は、11月12日に「シャン・チー/テン・リングスの伝説」を配信し「ホークアイ」や「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」などの番組を開始し、韓国などの国にも進出している。これらはすべて、加入者と視聴者を増やす可能性がある。問題は、特に同社が劇場でのプレミア公開に戻ったとき、それらがDisney+にとって十分に継続的なコンテンツと拡張になるかどうかということだ。
長期的な計画は、それだけではなかった。チャペック氏は、ディズニーのキャラクターが登場し、物理的な世界と仮想的な世界の両方を融合させるディズニー・メタバースの可能性を示唆した。しかし、CEOはこれが長期的な目標であることを強調し、タイムラインやその他の技術的な詳細については語らなかった。今のところ、これは具体的なプロジェクトというよりも、Facebook(フェイスブック)のMeta(メタ)に対抗するための試みといえるだろう。
編集部注:本稿の初出はEngadget。
画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images
[原文へ]
(文:Jon Fingas、翻訳:Yuta Kaminishi)