亡くなった愛猫のことを、いつまでも忘れられない人。彼または彼女の写真をPetMatchに送ると、そこのアプリケーションのマシンヴィジョンのアルゴリズムが、あなたのお近くに、あなたが里親になって引き取れる保護猫を見つけてくれる。一見可愛らしいこのアプリケーションは、2000万ドルの資金を得て10数名の博士号取得者たちが、コンピュータの視覚能力を人間のそれに近づけようと努力しているSuperfishが、初めて作った消費者向けの製品だ。
PetMatchにアップロードする写真は、自分の(元)ペットのでもよいし、あるいはWebで見つけた写真でもよいし(GrumpycatやDogeなど)、PetMatchのライブラリを探してもよい。同社は、その写真に対してまず幾何学的な分析を行い、目と目のあいだの距離とか、口の角度、顔全体の形などなどを計測する。
その次にPetMatchは、全国各地の保護猫サイトの保護猫たちの画像を一堂に集めているPetFinderの猫たちに対して、同じ分析を行い、幾何学的な計測値がほぼマッチする猫をユーザの居住地の近くに見つける。そしてあなたは、これだ!と決めた猫の保護者サイトへメールまたは電話をする。
PetMatchは、まだ完璧ではない。たとえば、同じ猫でも、顔の撮影角度が違うと同じ猫とは判断できない。でもいちばん得意なのは、種の特徴のあまりない、雑種猫を見つけることのようだ。保護犬猫集積サイトとして有名なのは、PetFinderのほかにPics For PetsやFido、Petangoなどがある。犬猫が行方不明になった人には、顔認識技術を利用するPiPが、お役に立つかもしれない。
“おいおい、資本金を2000万ドルも集めて、スタンフォードやMITの博士たちを集めている会社が、犬探しをやってんの?”。というわけではない。イスラエルとカリフォルニア州のパロアルトにオフィスのあるSuperfishは、2006年に創業され、Draper Fisher JurvetsonとVintage Investment Partnersから資金を調達してマシンヴィジョンの研究開発を行っている。Superfishの、eコマースの機能を拡張するiOSアプリやブラウザエクステンションは、あなたが過去に見たのとよく似た製品を見つけてくれる。このアプリは、毎月のユーザ数が1億もいる。
このアプリから得られるアフィリエイト料金で、Superfishは何年も前から黒字だ。でも今回は、このような単独で使える(eコマースなどに依存しない)アプリケーションで、自分たちの技術を世に知らしめようとしているのだ。ペットの次に同社が計画しているのは、ジュエリーや家具を見つけるアプリケーションだ。ヴィジュアル検索は今、スタートアップの世界でホットなテーマになりつつある。たとえばSlyceは今年1050万ドルを調達したし、PinterestはVisualGraphを買収した。今後Superfishがどこかの巨大テク企業に買収されても、不思議ではない。
Superfishの協同ファウンダでCEOのAdi Pinhasによると、同社の目標は、“どの携帯にも付いているカメラの、使い方を一変させること”だ。多くの人の携帯〜スマホは、写真をいっぱい撮ってそれらがカメラロールの中で埃をかぶっている。しかしSuperfishは、そのカメラのレンズを物知りロボットの目に変えて、あなたが見たいもの、やりたいこと、買いたいもの、などを教えてくれるのだ。そんなの気持ち悪い、と思う人もいるだろうけど、でもPetMatchを見たかぎりでは、コンピュータヴィジョンは今よりももっと優しい世界を作ることに、貢献してくれそうだ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))