MITとHarvard Medical Schoolが開発した新種の光ファイバーによって、疾病の早期発見や、治癒過程〜治療効果の追跡がより容易になる、と期待されている。この、ゴムのように伸縮性のある光ファイバーは、伸ばしたり曲げたりできるだけでなく、ほどんど水だけのゲル状物質なので、人体へのなじみが良く、自分の周辺を傷つけない。
光ファイバーはすでに、細胞の活性化や脳の神経細胞の励起に利用されているが、しかしこれまでの素材は柔軟性がほとんどないために、患者に害を与える可能性もある。対してこの新素材は、丈夫でしかも柔軟性がある。そのため、脳などの生体物質で使っても、周囲に害を及ぼすことがない。しかも、まさしく光ファイバーなので、光信号を低いロス率で送ることができ、さまざまな医学目的を支援する。
物理的柔軟性と低損失の伝送特性があるため、たとえば手術後の手足などにインプラントしておくと、光信号の状態によって治癒過程をチェックできる可能性がある。同じく光信号の状態によって、患部の炎症の有無の検出や、がんの早期発見にも役立つ、と期待されている。
光ファイバーを人体に埋め込めるようになると、われわれしろうとは、サイバーネーションへの応用などが思い浮かぶが、研究者たちは、そこまでは述べていない。しかし、より効果的な治癒過程を実現するという中庸な目標だけでも、十分に注目に値する医療技術の進歩だ。