今年インパクトが大きかった女性ファウンダ18名を厳選

先週(12/13-19)、社内の雑談で、2015年のテクノロジ産業に大きな影響を与えた女性ファウンダが話題になった。そしてそれはたちまち、とても長くて込み入った話になってしまった。

この記事では、私の心に浮かんだ女性ファウンダを数名取り上げてみよう。これらは、とうてい、完全なリストとは言えないので、ご意見のある方は、あなたが推薦される方を教えていただきたい。この記事でノミネートされる資格は、どなたにもある。〔この記事(原文)へのコメントが載ってるページは、ここです(大きな写真を見たい人も!)。〕


Alexandra Depledge

7月にAlex Depledgeは、Hassle.comを、同社の直接のコンペティタだったHelplingに3200万ドルで売った(ほとんど株式で)。HelplingにはRocket Internetが投資している。

彼女のそのイギリスの企業は、ホームクリーニングサービスのマーケットプレースで、Depledgeは友だちのJules Colemanと一緒に創業し、Accel PartnersやVentechなどから680万ドルを調達した。

Depledgeにとって、悪くないイグジットだ。彼女はAccentureで6年間経営コンサルタントを務め、それから2012年にHassle.comで起業家の世界に飛び込み、ロンドンでもっとも著名な女性起業家の一人になった。

Minnie Ingersoll

2年前にMinnie Ingersollは、Googleで同僚だったGeorge Arison、Christian Ohler、Morgan Knutson、VC出身のJoel Washingtonらと共にShiftを創業した。

HBSとStanfordを出て、サーフィンが大好きで、Googleに11年もいたIngersollにとって、それは思い切った転身だった。でもVCたちは、彼女らが作ろうとしていた中古車のマーケットプレースに、大きな将来性を見ていた。

サンフランシスコに本社のあるShiftは、これまでに7380万ドルの資金を調達した。それには、9月にGoldman Sachsのリードで行われた5000万ドルのラウンドも含まれる。

Tracy Young

Tracy Youngは建設工事の管理を専攻し、4年あまりをゼネコンで過ごした。彼女はそこで、青写真というものがとても高価な技術であることを知った。しかも、ちょっとした間違いが見つかるたびに作り直すし、そういう手直しの頻度も高かった。

彼女こそ、建設工事用の青写真アプリPlanGridを起業するのに、うってつけの人物だった。今4歳の企業だが、好調なようだ。本社はサンフランシスコだが、これまでに世界中の建設プロジェクト30万件を手がけ、3000万枚の青写真を管理した。

投資家たちはこれまで同社に、6000万ドルをつぎ込んだ。それには、先月完了したシリーズBの4000万ドルが含まれる。

Melody McCloskey

それまでMelody McCloskeyは、短命に終わったTVチャネルCurrentTVで、オンラインコンテンツのマネージャを務めていた。そして2011年に、自分の会社StyleSeatをサンフランシスコに作り、それを、繁栄を続けている美容健康市場の強力なプレーヤーに育て上げた。

同社のサービスは独立の(個人の)美容のプロを助けて、顧客とのスケジュール調整や、彼らの経営管理を代行する。今年の夏現在で、15000都市32万名のプロたちが、同社のユーザだ。

これまでVCたちは同社に、およそ4000万ドルの資金を注ぎ込んでいる。代表格はFosun Kinzon Capital、Lightspeed Venture Partners、Cowboy Ventures、Slow Ventures、それにUberのCEO Travis Kalanickもだ。

Katelyn Gleason

Katelyn GleasonはEligibleの協同ファウンダでCEO、同社は保険会社が、患者に対して行われた診療処置のカバレッジや適格性を知るためのAPIを提供している(一件ごとに課金が発生)。

ブルックリンで生まれY CombinatorとRock Healthで育った同社は、これまでの4年間で多くの投資家たちの注目を集めてきた。昨年秋には、シリコンバレーの最良の投資家たちからシリーズAで巨額の資金を獲得したようだ(詳細は非公開)。

Robin Chase

2000年にRobin Chaseらが創業したカーシェアリングサービスZipcarは、その後上場し、2013年に5億ドルでAvis Budget Groupが買収した

しかしChaseは、満ち足りたリタイヤ生活を送ることもなく、今度はVeniamの協同ファウンダとして同社の常勤会長になった。今年3歳の同社は、都市の路線バスなどさまざまな交通機関をWi-Fiのホットスポットに変身させ、Wi-Fiの供用域を全都市圏に拡大する。

この意欲的な挑戦の将来が楽しみだが、カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置く同社は1年前に、シリーズAで490万ドルを、True VenturesやUnion Square Venturesなど、最良のアーリーステージVCたちから調達した。

Angie Nwandu

Angie Nwanduを知らない人も多いと思うが、彼女の、生まれたてながら急成長しているメディア企業The Shade Roomには、今多くの投資家たちが注目している。

2014年の3月に自分の個人的なInstagramアカウントからスタートした25歳のNwanduは、黒人のセレブたちのゴシップサイトとして人気になり、小さなスタッフながら、彼女の自由奔放なアイデアによる展開で、古い体制的なコンペティタたちを打ち負かした。

マスコミが大きく取り上げたことも、役に立った。たとえばNew York Times Magazineは4月に、Shade Roomを “InstagramのTMZ”と呼んだ。そしてBuzzfeedは、ゴシップサイトの中ではNwanduが”どこよりも早い“、と激賞した。上の写真は、BuzzfeedのYsa Perezが撮ったものだ。

Payal Kadakia

Payal Kadakiaは最初、ニューヨークのフィットネスサービスのための、ユーザ登録が簡単にできるアプリで起業した。アイデアは悪くなかったが、でも結果はぱっとしなかった。Kadakiaと協同ファウンダのMary Bigginsはこれに懲りずに、別のアイデアでClassPassというアプリを作った。作ってからすでに2年半になるが、毎月の定額料金でいろんなフィットネススタジオやジムなど、どこへでも行ける、というアイデアは大ヒットした。

今では合衆国の30の都市に展開し、資金はすでに8500万ドルも調達している同社は、次のプランとして海外進出を考えている。

Maran Nelson

ClassPassのKadakiaと同じく、最初のアイデア(製品開発のためのA/Bテスト)がコケたMaran Nelsonは、幼なじみのMichael Akilianと共に、すぐに次のアイデアClara Labsに取り組んだ。そしてそれは、毎日のように過密スケジュールを抱えているビジネスマンたちに歓迎された。

YC出身のClara Labsは、月額49ドルで使える仮想パーソナルアシスタントで、メールの会話を読み取ってアポイントをスケジューリングする。このアプリの背後では、機械学習のアルゴリズムが動いている。メールをコンスタントに読むというアイデアは、シンプルだけどすばらしい。本誌の編集部でも、すべてのアポイントをタイミング良く思い出して遵守することが、誰にとっても頭痛のタネなのだ。

Adi Tatarko

Adi Tatarkoが、夫と共にHouzz –住宅改造のプラットホーム–を作ったのは、自分たちの家をアップデートしようとした6年あまり前だった。

同社は今では各月のユニークビジター数が3500万、そして登録しているプロフェッショナル(建築家、室内装飾家、工務店など)は80万名/社いるという。

これだけの規模だから、Houzzの前回の資金調達ラウンドのときの評価額が23億ドルと噂されたのも不思議ではない。それは昨年、Sequoia Capitalがリードしたラウンドだ。

Christina Lomasney

Christina Lomasneyは、シアトルのModumetalの協同ファウンダでCEOだ。8年前に創業された同社は、ナノ積層合金というものを開発している。それは錆によって腐食しない素材なので、将来は金属に変わって軍用の装甲や、あるいは自動車にすら使われる、と期待されている。

Founders Fundが多大なる関心を示し、8月のシリーズA 3350万ドルのラウンドをリードした。

なお、Lomasneyは、ロシアで核技術の研究を許された最初のアメリカ人物理学者の一人だ。

Danielle WeisbergとCarly Zakin

Danielle WeisbergとCarly Zakinの二人は、若い女性に人気がある日刊のオンラインニューズレターTheSkimmのCEOだ。その日の重要ニュースの分かりやすい説明が載っていることが、特徴だ。

私は個人的に好きだが、Oprahもだ。この大物セレブの推奨が、大きな弾みになっただろう。

二人とも以前はNBC Newsの副プロデューサーで、今では起業家として投資家受けも良い。同社はニューヨークに生まれて3歳になるが、これまでRRE VenturesやHomebrew、Greycroft Partnersなどから780万ドルを調達している。

Piraye Yurttas Beim

Piraye Yurttas BeimはCelmatixのCEOだ。この、創業6年になるニューヨークの企業は、妊娠する確率の高い日と低い日を患者や医師に教える。

Beimと協同ファウンダのLaura Towart Bandakは二人ともPh.Dで、ニューヨーク市トライベカのBandakのリビングルームが最初のオフィスだった、という。データと予測分析を利用して、体外受精の成功率を高めることをねらった。今日では同社は、合衆国全域の大手不妊治療機関と提携し、VCからの投資も受けている。

この低空飛行の企業は、SECへの申告によると、今年少なくとも550万ドルを調達している。また、過去には、プライベート・エクイティ企業Topspin Partnersなどからおよそ800万ドルを調達した。

Valerie Wagoner

Stanfordで二つの学位を取ったValerie Wagonerは、音声によるモバイルソーシャルアプリSayNowやeBayなどシリコンバレーの数社を転々とし、それから彼女がまだ20代半ばだった2008年にベイエリアを去り、以前マイクロファイナンスについて研究したことのあるインドへ移り住んだ。

その後Wagonerはバンガロールでマーケティング企業ZipDialの協同ファウンダになったが、そこはTwitterが今年買収し、Twitterの初めてのインドにおける買収になった。買収価額は、噂では3000万〜4000万ドルと言われている。また同社は、500 StartupsやJungle Ventures、Mumbai Angels、Times Internetなどから資金を調達している(金額は非公表)。

Tan Hooi Ling

Tan Hooi Lingのような秀才エンジニアは、単なる技術職でない道に進むことが多い。たとえば彼女はMcKinsey & Co.ではビジネスアナリスト、Saleforce.comではシニアディレクターだった。しかし2011年にHarvard Business Schoolで勉強していたときは、クラスメイトのAnthony Tanと一緒に同校のスタートアップコンペに出場し、そこから彼らの企業GrabTaxi(地元マレーシアではMyTeksi)が生まれた。

しかし、そこからが激しい。顧客とタクシー運転手をスマホで直接結びつけるGrabTaxiは、マレーシアで2012年にローンチしてから東南アジアの一大勢力にのし上がり、Uberにとって大きな脅威になった。

投資も殺到した。今年の8月にはなんとシリーズEで3億5000万ドルを調達し、これまでの調達総額は少なくとも6億8000万ドルにはなる。

Maria Ressa

Maria RessaはCNNの編集局のチーフで、東南アジアのテロ専門の事件記者でもあった。

4年前に彼女は独立し、Rapplerを創業した。評価の高いソーシャルニュースネットワークで、従来からのジャーナリズムにソーシャルメディアとクラウドソーシングとビッグデータを結びつけた。

今では編集局がフィリピンと、インドネシアのジャカルタ、二箇所にある。

Danielle Morrill

Danielle MorrillはMattermarkの協同ファウンダでCEOだ。サンフランシスコのデータベース企業で、主にスタートアップや非上場企業のデータを集めている。

競争の激しい分野だが、彼女の企業はMorrillの頑張りで、ファウンダや投資家たちからまっさきに利用されるデータソースになっている。Twitterでの発言量やフォロワー数が多いだけでなく、無料の‘日刊メール’を購読すると、ファウンダや投資家にとって意味のある、彼女自身が編集した情報を読むことができる。

VCたちも、今では彼女のことをよく知っている。まだ創業から3年だが、Data Collective やAndreessen Horowitzらからおよそ1000万ドルを調達している。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。