仕事をオンラインで受発注できるFreelancer.comが次に狙うのは地域限定の仕事の取り込み

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地域密着型のビジネスや家庭向けサービスの巻取りを目論む企業が新たにもう一社参入する。Angie’s ListTaskRabbitThumbtackHandyといったサービスを追い、AmazonGoogleに続き、今回Freelancer.com も特定の地域にサービスを提供する配管工、クリーニング店、料理人、宅配事業者が利用できるマーケットプレイスをローンチする予定だ。事業者がオンデマンドでユーザーにサービスを提供できるプラットフォームとなる計画だ。Freelancer.comの本拠地であるオーストラリアから導入を始め、今期にも世界展開を目指す。

Freelancer.comのCEOであるMatt Barrieは、彼らの地域密着型のビジネスは「地元の仕事のためのUber」であると話した。ユーザーがオフラインの仕事を依頼したい場合、Freelancer.comのサイト、あるいはモバイルアプリから、特定の地域から受託できる人を探すことができる。

新しいサービスはFreelancer.comが今まで提供してきた、フリーランサーと仕事を依頼したい人をつなげるオンラインプラットフォームと並行して提供される予定だ。仕事を受発注するためのオンラインプラットフォーム競合にはElanceとOdeskといった企業がある。Freelancer.comは1500万人の登録ユーザーを有し、7万3000の都市で利用されている。常時200万人のユーザーが仕事に入札しているとBarrieは言う。

Barrieによると、Freelancer.comは何年も前から地域限定の仕事を取り込むことを視野に入れていたが「これまでのビジネスが十分に世界に普及していないと感じ、実行に移していなかった」と言う。新しいビジネスで成功させるために十分に認知される必要があると考えていたそうだ。「地域に密着した仕事の市場はオンラインの仕事の市場より10倍大きいのですが、一つの仕事のサイズの平均は小さいのです」と彼は説明した。TaskRabbitの仕事の単価は平均およそ100ドルで、Freelancer.comのオンラインの仕事の単価の平均は200ドルだと言った。

BarrieはFreelancer.comで人材の採用は行っているものの、ネットワークを広めるためにサービス事業者と提携することは考えていないと話す。Amazonは、Home Servicesを広めるためにこの手法を取り入れてきた。

その代わり彼らのオンラインネットワークを利用する人にリーチした。既に十分ななリソースがあると言う。オンラインの仕事を担っていた人はオフラインでもスキルを活かした仕事ができるということだ。写真家やデザイナーなら、イベントでの撮影を請け負うことができるだろうし、本業と直接関連しない仕事、例えばコピーライターがパーティーのレセプションの仕事を引き受けたり、空いた時間に荷物の配送を請け負うこともできる。

「広い地域で利用されるようになった今、新しいことを進めるのに良い時期だと思っています」と彼は言う。

Freelancer.comは今まで17社を買収し、オンラインの仕事のマーケットプレイスを構築してきた。しかし、Barrieは地域密着の仕事のビジネスを拡大するために同じ手法を用いる予定はないと話した。

効率的なオンラインプラットフォームでオフラインの仕事をつなぐビジネスの市場規模は、アメリカだけでも1000億ドル規模でチャンスがあるとBarrieは言う。全世界を入れたら、その数字はさらに膨らむ。

他社もこのビジネスへの参入が相次いでいることから、この事実は驚くべきことではない。

Amazonは最近Home Servicesをローンチし、Googleも近く地域に密着した仕事のマーケットプレイスを始めるという話も聞く。eBayも同様のビジネスを試していることに加え、Angie’s List のように既に確立したサービスや、HandyThumbtackTaskRabbitのようなスタートアップも多く登場している。どの企業も、その地域で仕事を依頼したい人と、仕事を請け負うことができる人をつなぐプラットフォームを提供している。

これは市場が成長している兆しでもあるが、Freelancer.comにとっては既に競合がひしめきあっている市場であるとも言える。オンラインの仕事を見ても、チャンスがあるといことが必ずしも成功を約束するものではないということが分かる。Googleのオンラインでトレーニングやサービスを提供するHelpoutsは、偶然にも 明日閉鎖する。Googleは閉鎖について、「予定していたほどの成長がみられなかった」ためだとしている。

オーストラリアのこの企業は、他の企業より世界進出が進んでいることで差別化しようとしている。他の企業はアメリカ国内の市場のみを対象としているか、優先しているが、Freelancer.comのプラットフォームでは、ケニアやフィリピンや他の国からも仕事の受発注が行われている。Freelancer.comの仕事の半数はアメリカから来ているが、12%はインド、10%はイギリス、5%はカナダ 、更に5%はオーストラリアからの依頼だ。仕事の受託については、インドが一番大きい市場になっている。

Freelancer.comはオフラインの仕事でも、オンラインでの仕事と同様のコミッションモデルを用いる予定だ。プラットフォーム上で行われる取引の10%をFreelancer.comが受け取る。このモデルはFreelancer.comの2013年に上場 、そして2014年の売上は2670万オーストラリアドル(2040万米ドル相当)の達成を後押しした。これは2013年と比較すると39%もの増収で、時価総額は4億ドルに到達した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

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TechCrunch Japan

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