今年1月から招待制サービスを開始した「ウェルスナビ」や、2月に本サービスを開始した「THEO」などロボアドバイザーの市場が日本でも立ち上がり始めているが、こうしたロボアドバイザーとちょっと異なるアングルから個人の資産運用の課題を解決しようというスタートアップが「Folio」(フォリオ)だ。2015年12月創業のFolioは現在、年内のサービス開始へ向けて準備中で、本日DCMベンチャーズとDraper Nexusに対して総額3億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。Folioは現在8人のスタッフがいてファイナンス系が3人、デザイナーが1人、エンジニアが4人。
社名が暗示するように、Folioはポートフォリオを選ぶことなどにフォーカスしたサービスを開発中だ。ロボアドバイザーは、ユーザーごとに異なるリスク許容度や収入、人生設計などを考慮に入れた国際分散投資を自動化してくれるサービスで、使い始めにポートフォリオを決めれば、後は10年とか20年という単位で長期運用をすることになる。一方、Folio創業者でCEOの甲斐真一郎氏は、そうした長期運用も1つの選択肢だとしながらも、もう少し個々人が資産運用に踏み込めるようなプラットフォームサービスを構築中で、自分たちはロボアドバイザーとは少し業種が異なると話す。
Folioではポートフォリオを「探す」ことも
実際、開発中のサービスをぼくは見せてもらったのだけど、Folioは「さがす」「まかせる」の2つに大きく分類されている。「任せる」というのがロボアドバイザーの部分。Folio上にはほかにもグリーンテックやドローン関連銘柄を集めたテーマ別ポートフォリオがあり、これをユーザーの専門性や趣味嗜好などからオススメしてくれるそうだ。ドローンの例なら凸版印刷、住友精密工業といったように関連事業に取り組む銘柄数十種が含まれていて、自分で銘柄の取捨選択もできるし、簡単に分散投資ができるそうだ。
中長期のトレンドに紐づくポートフォリオだけでなく、「アノマリー系」と呼ぶイベントに対応するようなポートフォリオもある。
Folioの甲斐CEOはゴールドマン・サックスやバークレイズで金利トレーディング、アルゴリズムトレーディングなどを経験してきた経緯がある。その甲斐CEOの問題意識は、証券会社と個人投資家の金融リテラシーのギャップを埋めること。「ロボアドバイザーは1つのツールでしかありません。投資を任せる以外にも選択肢はあるはず」という考えだそうだ。
「任せることだけでは国民の金融リテラシーは上がらないと思っています。われわれが問題だと思っているのは、投資プラットフォームと国民の間に大きなギャップがあることです」
「今のオンライン証券だと3500以上の銘柄、5000本以上の信託があって、自由に選んでくださいという風になっていますよね。でも、なかなか選べません。投資教育もしっかりしていません。投資プラットフォームと国民の金融リテラシー、この2つのギャップを埋めていきたいと思っています」。
情報過多の時代にPERやPBR、テクニカル分析など、あまり詳細な情報をプラットフォーム上で見えるようにすると、ユーザーが戸惑うとの考えから、定量的な判断はあえて消すなどの工夫もしているという。