企業のアプリやサイトにチャット機能を簡単に搭載できるHyroが11.4億円調達、Twilioも投資

元AirbudだったHyroは、米国時間5月25日、Spero VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1050万ドル(約11億4000万円)を調達したことを発表した。投資に新たに参加したのは、TwilioとMindset Venturesで、既存投資家のHanaco VenturesとSpider CapitalとEntrepreneurs Roundtable Acceleratorも参加した。

Hyroは任意のアプリケーションやウェブサイトに音声やテキストによるチャット機能をつけるエンタープライズアプリケーションで、現在はヘルスケアの分野が対象だが、今後他の業種業界も狙っていくという。

同社は自らのことを「適応型コミュニケーションのプラットフォーム」と呼ぶ。顧客は同社のプラグアンドプレイですぐ簡単に使えるツールを利用して、コンタクトセンターやチャットボット、SMSなどのコミュニケーションに統合できる情報を会話可能な音声またはテキストで届ける。Hyroのターゲットは、基本的にエンドユーザーと頻繁にコミュニケーションを行わなければならない情報集約的な業種業界だ。

共同創業者のIsrael Krush(イスラエル・クラッシュ)氏によると、このようなコミュニケーションは往々にして、エンドユーザーにとっては不快な体験に、企業にとっては費用が高くて非効率な措置になりがちだ。この問題が最も露骨に存在するのが、パンデミック下のヘルスケア分野だ。エンドユーザーはウイルスやワクチンや検査などに関する情報を求めて受け付けを洪水のようにしてしまうが、それらの毎回同じような質問は何万通りもの言い方がある。エンタープライズの場合、質問に対する答えも時間や年月とともに変わってしまう。

Hyroを利用すると、情報の編集が容易にできて、その情報をエンドユーザーに効率的に届けることができる。もっと重要なのは、Hyroがウェブサイトなどの情報から会話のツリーをあらかじめ作成するので、答える側が事前に大変な苦労をしなくても済む。

クラッシュ氏によると、顧客対応は企業などにとって重大問題であり、マーケットは混雑している。今回の資金調達ラウンドにTwilioが参加したことは、同社にとって重要な差別化要因だろうとクラッシュ氏はいう。

クラッシュ氏は次のように語る。「市場は混み合っていて、自らをその他大勢と差別化することは実に難しいものです。私たちの技術がどれだけ優れていても、誰もが自らを1番だといいます。Twilioはこのラウンドに来てくれて、今は同社と、コンタクトセンター関連でパートナーシップを築こうとしています。このパートナーシップは、私たちのやり方の他との違いを本当に検証する試金石になるでしょう。私たちのアプローチは、スケーラビリティとモジュール化で違いがはっきりとあるはずです」。

クラッシュ氏は、Hyroはヘルスケア企業ではないと念を押す。「どんなエンタープライズでもお役に立てる」という。

現在、Hyroの顧客であるヘルスケア企業はCarrollやWheelpros、Mercy Health、University of Rochester(ロチェスター大学) Medical CenterそしてWeill Cornell Medicineなどだが、同社は今回得た資金で、不動産や政府機関など、その他の情報集約的な業界へ拡張したいと考えている。

今回を合わせてHyroの総調達額は1500万ドル(約16億3000万円)になる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hyro資金調達チャットツール

画像クレジット:Hyro

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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