スマホで異性の写真を見て、気になれば右にスワイプ、そうでなければ左にスワイプ。直感でカードをめくるような「Tinder」のインターフェイスは最近の流行りで、ファッション系アプリや学習アプリ、ニュースアプリでも模倣されるほど。そんなビッグウェーブに乗ろうとしたのか、転職サイト「キャリアトレック」が11月26日、Tinder風アプリをリリースした。「何でもTinder風にすればいいってもんじゃない」と少し覚めた目で見ていたけれど、転職サービスとの相性は案外悪くないかもしれない。
カード形式で会社の特徴を配信
まずアプリを立ち上げてするのは、企業選びで大切にする20項目について、左右に振り分けるキャリア診断。「収入アップできる仕事かどうか」「若手でも意見が言いやすい」といった項目に答えていく。その結果にもとづき、毎日最大10社の会社情報がカード形式で提案される。特徴的なのは、会社情報が写真と、数秒で読めるキャッチコピーのみで構成されていること。直感的に興味の有無を判断するTinderよろしく、気になる会社を探せるというわけだ。
例えば、名刺管理サービスを手がけるSansanでは、ビールが注がれたジョッキの写真に「違う部署の人と飲みに行ったら3000円」、古民家の写真に「築70年の古民家を会社で借り、サテライトオフィスとして利用しています」といった組み合わせのカードが数種類ある。1社をさまざまな角度から紹介しているので、同じ会社でも、特徴によって興味の有無が分かれてきそうだ。
ユーザーはレコメンドされた会社の特徴を見て、「気になる」か「気にならない」かを選別する。以下は開発中のアプリを操作している動画。わかりやすい写真とキャッチーなコピーのカードをめくっていくのは、なかなか面白い。
こんなふうにして振り分けた情報は次のレコメンドに反映され、自分に刺さりそうな特徴を持つカードが自動的に提案される。カードには「社長の経歴」や「オフィスの環境」といったタグが付けられていて、「気になる」に登録したカードに含まれるタグをもとに、別のカードがレコメンドされる仕組みだ。気になるフォルダで会社情報の詳細を見たり、応募することもできる。
Tinder風インターフェイスで「キッカケを手軽に」
キャリアトレックは20代の若手をターゲットにしたレコメンド型転職サイトとして、2014年4月にオープン。現在の会員数は7万人、求人企業は4000社、求人案件は1万7000件に上る。「社会人経験が短く、会社の探し方がわからない」という20代が多いと想定して検索機能を排除し、ユーザーのニーズに合った求人を提案するレコメンドに特化している。
アプリにTinder風のインターフェイスを採用したのは、20代をさらに意識したためだ。キャリアトレックのプロデューサーを務めるビズリーチの関哲さんは「会社を知るキッカケを手軽にしたかった。グノシーやスマニューのように通勤途中に見てもらえるアプリになれれば」と意気込みを語っている。
1日の平均利用時間が77分(!)というTinderのような中毒性はなさそうだが、ニュースアプリをチェックする感覚で隙間時間に転職先を探すのもよいかもしれない。