宇宙スタートアップのAstranis(アストラニス)が、同社のユニークなMicroGEO衛星の製造を拡大する原資にしようと、シリーズCで2億5000万ドル(約272億円)を調達した。MicroGEO衛星は、地球上の特定の場所に通信と接続を提供するための軌道バンドで使われる、巨大で高価なことが多い通常のものよりもずっと小型の静止通信衛星だ。
AstranisのシリーズCはBlackRockが管理するファンドがリードし、Baillie Gifford、Fidelity、Koch Strategic Platformsなど多くの新規投資家が参加した。既存投資家からはAndreessen HorowitzやVenrockが参加し、Astranisの評価額はポストマネーで14億ドル(約1524億円)となった。
今回のラウンドにより、株と借入による調達も含めAstranisの累計調達額は3億5000万ドル(約381億円)超となる。Astranisは2016年に創業され、YCの2016年冬季プログラムに参加した1社だった。他社の多くが低コストのブロードバンドを地上で提供するために低軌道(LEO)に衛星コンステレーションを築こうとしているが、共同創業者でCEOのJohn Gedmark(ジョン・ゲドマルク)氏が率いるAstranisはGEO(静止軌道)バンドにフォーカスしている。GEOバンドでは大型で古い通信衛星が現在稼働していて、固定されたポジションで地球を周回しながら地上の設定されたエリアに接続を提供している。
ゲドマルク氏は以前筆者に、同社のサービスはSpaceXなどの企業が打ち上げて運用しているLEOコンステレーションとかなり異なる、と話した。というのも、それらは本質的にはかなりターゲットを絞っていて、既存の地上インフラを利用する手軽なソリューションだからだ。特定の地域に絞って接続を確保したい顧客は、Astranisを使って従来のGEO通信衛星よりもかなり安いコストで衛星を打ち上げることができる。たとえば老朽化した既存の衛星ネットワークインフラを交換したりアップグレードしたりするために打ち上げる。
今回のラウンドをリードしたBlackRockはロケット打ち上げ会社Astraが合併した有名宇宙スタートアップSPAC(特別買収目的会社)のPIPE(上場企業の私募増資)の主要参加者だったことは注目に値する。今回のラウンドではAstranisがエグジット計画を準備しているとはいわないが、何か検討していることは確かだろう。
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カテゴリー:宇宙
タグ:Astranis、人工衛星、資金調達、衛星コンステレーション
画像クレジット:Astranis
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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi)