保育園で園児を見守るロボット「MEEBO」を製作するユニファが3億円を調達

本日、保育園や幼稚園内で園児の見守りロボット「MEEBO」を開発しているユニファジャフコ日本政策金融公庫より総額3億円を調達したことを発表した。MEEBOは体長28cmで重さは約1kgだ。MEEBOのデザインは、パナソニックのロボット「エボルタ」などのロボットデザインを手がけたロボットクリエイターの高橋智隆氏によるものだ。「子供たちに受け入れやすく、安全性に考慮しています」と広報担当者はロボットのデザインについて話す。例えば、腕などの可動部分は園児が触っても指が挟まりにくく、ロボットが動くモーターも何かを挟んだと検知した際はすぐに止まるようになっているという。

MEEBOの機能は大きく3つのコンセプトを中心に開発している。1つは「園児の命を守る」ことに特化した機能だ。例えば、MEEBOは園児の体温を計る機能や地震速報などを通知する機能がある。今後、それぞれの園児の体温やアレルギー情報を一元的に管理できるようにすることで、保育士の保育状況の把握や保護者への連絡業務を効率化する予定だ。

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2つ目は「園児の様子を記録する」機能だ。これはユニファが展開するインターネットを介した写真販売サービスである「るくみー」と連動している。保育園などでは、園児の様子を撮影した写真を保護者に販売している施設も多いが、これまでの方法では撮影、印刷、掲示、保護者からの集金と手間が多くかかった。るくみーのサービスでは、保育士の作業は写真を撮影してサイトにアップロードするだけだ。あとは保護者が購入したい写真をサイトから選択すると、決済から印刷、配送までるくみーが代わりに行う。MEEBOはカメラを搭載しているので、保育士の代わりに撮影を行うことができる。スマホでMEEBOを操作して集合写真を撮ったり、MEEBOが園児の顔を認識したら自動で撮影するように設定することも可能だ。今後は動画撮影の機能も追加する予定だそうだ。

meebo_illust3つ目の機能は「園児と一緒に遊ぶ」機能だ。現在この業界は人材不足に直面している。それに伴い、新米の保育士を育成するのも保育園の負荷となっている。保育園などでは、保育士が何名もの児童を担当しているが、怪我をしたり、病気になったり、保育士が児童1人にかかりっきりになってしまうこともある。ベテランの保育士が手当をしている間、新米の保育士が大勢の児童に対応する際、MEEBOがサポート役を担うという。MEEBOは園児たちが落ち着くような音楽を再生したり、あるいはダンスをしたり、クイズを出したりすることもできる。

今の段階ではまだ機能は限定されているが、現在、保育事業を行うサクセスホールディングスが運営する保育施設にMEEBOを導入し、保育施設や保護者が求める機能や改良点を検証しているという。MEEBOは8月に予約販売を開始し、月々9800円でMEEBOを貸し出す料金体系を採用している。

ユニファは2013年に創業した会社だが、保育園事業者で大手のJP ホールディングス、サクセスアカデミー、さらには子供向け英会話教室のECCにるくみーのサービスが認められ、既に600以上の施設、そして10万人以上のエンドユーザーにリーチできているという。MEEBOもそのリーチを活かして訴求する予定だ。

今後の課題は、日本全国に4万近くの保育園や幼稚園があるが、独立して運営している保育園や行政が運営しているところにどのようにリーチするかということだ。そのためにも、「MEEBOを導入している保育施設でその有用性を実証し、実績を出すことが重要だと考えています」と広報担当者は話す。

今回調達した3億円で、MEEBOの機能の拡充もさることながら、保育園と保護者をつなげる場となるサイトを充実させていきたいそうだ。「その日の出来事をその日のうちに子どもと保護者が共有し、家族の会話が生まれるサービスを目指しています」と広報担当者は言う。まだ構想段階だが、ゆくゆくは写真販売だけでなく、子育てに役立つ情報や知育ゲームや物販など、総合的な家族メディアを目指すという。

ソフトバンクの感情を認識する「Pepper」を始め、2日前にはシャープのロボット電話「RoBoHoN」が注目を集めた。ますます、このようなロボットが私たちの生活にとって身近な存在になりつつあるようだ。

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TechCrunch Japan

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