Twitterは、利用者の投稿したコンテンツを一層活躍するための方法を探し続けている。最近行われた会話の表示順変更も、過去の会話に改めて注目を集めて、コンテンツを有効活用するための方法であると言えるだろう。そのような中、そうしたTwitterの努力と相反するようなサービスが登場してきた。かつてTwitterにも在籍していたPierre Legrainが、Twitterspiritというサービスの提供を開始したのだ。ハッシュタグを使って、簡単にツイートの有効期間を指定することができるというものだ。Twitter版Snapchatとでも言うべきもので、同様にほんの少しの間だけ表示される写真などを送ることができる(Snapchatのゴーストアイコンに対抗して、同様になかなか捉えがたい存在である精霊を意味するspiritを名前に冠したわけだ)。
自分で投稿したはずのデータであるはずなのに、自らのコントロールが及ばない状況となり、まずはSnapchatが一定時間経過後に自動的に消滅するメッセージをやりとりする方法を提供し始めた。Twitterでも、もちろん自分のツイートを消去することはできる。ただそれは自分でいろいろと操作を行った場合の話で、自動的に消えるのとは別の話だ。Twitterspiritを使えば#1mないし#6h、あるいは#2yなどと、ハッシュタグを使ってメッセージの持続時間を指定することができるのだ。
時間がくればパッと消えてしまう。
なかなか面白いハックだとは思う。ただ、よく考えてみるといろいろと気になる点もある。
たとえば、利用者の投稿データを活用して、ブランドイメージを解析してみたり、あるいはプロモーションがTwitterの世界でいかに受け入れられているかといった情報を提供するのはTwitterのビジネスモデルのひとつと言って良いだろう。そのようなサービスの上に、一定期間でツイートを削除してしまう機能を実現するのは、Twitterの意に反するものであると言えるのではなかろうか。
また、作者の経歴をみると、少々微妙な気もしてしまう。LinkedInのプロフィールによれば、Twitterに籍をおいている時、Legrainは売り上げを管理するプロダクトマーケティング部門のマネージャー職にあった。2010年6月から2011年4月の在職期間中、「Promoted Tweets」「Promoted Trends」、「Promoted Accounts」および「Analytics」の開発に携わっていたはずなのだ。さらに自身も認めているように、「http://business.twitter.com」のアイデアを思いつき、設計して、開発にも携わったそうだ。
尚、広告代理店界の巨人であるWPPでの職務経験もある。
但し、メッセージが消え失せる仕組みになっていても、その結果、手に入るはずだった収入も失われてしまうと決まったものでもない。先輩のSnapchatは8億ドルの評価額で8000万ドルを調達したが、共同ファウンダーによるとマネタイズ手段は広告とアプリケーション内購入がキーなのだとのこと。TwitterにもSnapchat同様の機能が実現されることにより、むしろTwitterを利用した広告出稿が増えるということもあるかもしれない。
ちなみにLegrainは、このTwitterspiritはサイドプロジェクトであると述べている。
「当初の目的はPython、PostgreSQL、Redis、およびTwitter APIを使って何かを作ってみることでした」とのこと。このTwitterspiritとは全く関係のないことを本職として行っているのだそうだ。Twitterspiritを立ち上げてから、他にもいろいろと類似サービスのアイデアが浮かんできているのだという。たとえばチェックイン等、位置情報系サービスでSpirit風タグ機能を実装してみるのも面白いと考えている。レストランにいる旨を投稿しても、結局、そうした場所には1時間程度しかいないのだから、指定時間で消えるという機能には実用性があるのではないかと考えている。あるいは、気象関連ツイートに有効時間指定タグをつけるのも便利ではないかと考えているそうだ。確かに、古い時間の情報が消え去るわけで、現在の気象情報を知りたいと考えている人にとって便利になるのかもしれない。
TwitterユーザーはTwitterspiritのようなサービスを使いたいと考えるだろうか。Twitterという舞台の上で生き残っていくのか、それともハッシュタグによって行き残り時間を指定したツイートと一緒に、そのままどこかに消えていってしまうのか、注目しておきたいと思う。
(訳注:原文コメントには、類似サービスが既に公開されている旨のコメントもついています)
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(翻訳:Maeda, H)