全国初、愛知県で国産完全自動運転車を使った試験運用がまもなくスタート

ティアフォーは2月19日、4人乗りの完全自動運転EVなどを使ったモビリティサービス「One Mile Mobility」(OMM)の試験運用を開始する。対象地域は愛知県で、2019年春頃より開始。アイサンテクノロジーと岡谷鋼機と共同で実施し、自治体と一体となった新たなビジネスモデルの創出を目指すという。

ティアフォーは今回の試験運用に、完全自動運転EVの「Milee」(マイリー)と、そのモビリティサービス用ウェブプラットフォーム「Web.Auto)」(ウェブ・ドット・オート)を提供する。Mileeは、電動ゴルフカートをベースとし、車体に3次元レーザースキャナ(LiDAR)と単眼カメラを搭載。認知・判断・操作のすべてをオープンソースの完全自動運転ソフト「Autoware」で自動化した車両だ。

Web.Autoは、同社が開発を手がけるウェブプラットフォーム。配車管理や遠隔操縦のほか、3次元地図配信、人工知能(AI)のオンライン学習、走行データ管理、サポートセンター接続といった完全自動運転車両の運行に必要なウェブサービス機能が備わっている。MileeとWeb.Autoはモバイル回線を利用して接続する。

今回の試験運用では、Web.Autoが備える、配車管理(Autoware FM)、遠隔操縦(Autoware Drive)、3次元地図配信(Autoware Maps)を利用。Autoware FMSは、バス停やモバイル端末にインストールされたアプリからの配車依頼に対して完全自動運転車両の配車管理をする技術。Autoware Mapsは、Autoware FMSと連動して完全自動運転車両が必要とする経路探索と3次元地図配信する技術。Autoware Driveは、完全自動運転車両が走行不可能になるといった万一の場合に、モバイル通信を利用して車両を遠隔制御する技術だ。

本サービス開始に先立ち、2月下旬から3月にかけて愛知県長久手市にある「モリコロパーク」にて公園管理の道路を利用した試験運用を実施する。試験運用の後半には来園者の試乗も計画しており、専用アプリを使って走行ルート内でMileeを呼び出す、実験用に設置された模擬のバス停に移動するといった操作を体験できる。

同社によると、国産の完全自動運転車両とウェブプラットフォームが一体となってパッケージ化されたモビリティサービスの導入は全国初とのこと。

国内でも各社がさまざまな自動運転技術を開発中だが、法整備だけでなく道幅が狭く複数の路線が複雑に入り組んでいる大都市部での完全自動運転はもう少し先の話。今回の試験運用は、空港やゴルフ場など、バス専用道路など一般道以外での完全自動運転の実現にかなり近づくのではないか。

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TechCrunch Japan

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