American Egg Board[全米卵協議会(AEB)]は、連邦法に反して公的資金を使い、Hampton Creekの卵不使用マヨネーズ代替品 “Just Mayo” の販売を阻止しようとした疑いがある。USDA[米農務省]が調査を開始した。
Hampton CreekはAEBを、Whole Foods食料品チェーンでの販売行為を妨害しようと企てたとして訴え、情報公開法(FOIA)に基づきAEB幹部間で交わされた決定的証拠となる一連のメールを入手した。AEBのCEO Joanne Ivyは、同スタートアップについて「危機的状態であり重大な脅威」と指摘するメールを、AEBのPR会社であるEdelmanに送った。メールには、AEBが危機と認識する状況への対応についてPR会社の協力を求めていることも書かれていた。
やりとりは数年の期間にわたっており、Hampton Creekが最初の製品を発売する前にも遡る。AEBは独立請負人を通じてWhole Foodsと接触し、Hampton Creekの製品を発売前から販売しないよう工作したと見られている。
「Whole Foodsがわれわれの側についた場合のPR効果を想像してほしい」、とマーケティングディレクターのElisa Malobertiは、2013年12月に他の役員へのメールに嬉々として書いた。結局Whole Foodsは “Just Mayo” を販売した。
このところHampton Creekに好意的に報道はなく、ここで一種の「ダビデ対ゴリアテ」的物語が必要になったように思われる。TechCrunchを含め、多くの人々がこのスタートアップ内のデータとプロセスに疑問を呈している。FDAは最近Hampton Creekに対して、同社が “Just Mayo” 製品を心臓に良くコレステロールを含まないという事実と異なるブランディングを行ったと指摘した。
しかしきな臭い話もある ― AEBはFDAに密告し、定義上マヨネーズではない製品に “myao” と名付けているとHampton Creekを訴えた(そして負けた)Unileverとも手を組んでいた可能性がある。AEBが送ったメールの一通は、Hampton Creekの “Just Mayo” のラベルについてFDAに異議を申し立てており、別の一通にはAEBがUnileverを助ける隠謀について書かれている。
Hampton Creekのファウンダー、Josh TetrickはこれらのメールをThe Guardianに持ち込み、AEBを監督するUSDAに調査を要求した。ユタ州選出のMike Lee上院議院も、報告書を見てUSDAのTom Vilsak長官に調査を依頼した。
「全米卵協議会が、シリコンバレー拠点の食品会社、Hampton Creekの人気菜食主義者向けマヨネーズ代替製品、’Just Mayo’ の市場需要を減少させるキャンペーンを取りまとめるという反競争的行為を犯し、連邦法に違反している疑いがあることがわかった」とLeeはVilsack宛に書いた。
USDAはこれらの申し立ての調査に着手した。同省は、AEBのメールとは距離を置いてきたことをTechCrunch宛のレターで語った。
法律に基づき、USDAはあらゆる研究推進プログラムを監督し、全米卵協議会もその一つだ。USDAの農業マーケティングサービス(AMS)は各団体を日々監視し、会計説明責任、プログラムの完全性、および利害関係者の公正な扱いの保全に務めている。AMSは協議会の大量の資料および議事録を承認しているが、協議会員あるいは事務員、その他USDA職員の全Eメールの内容を事前に承認することはない。
AMSは全米卵協議会に関わる問題について綿密な不服審査を遂行している。そこには大量の資料が関与しているため、AMSは迅速に審査を完了する予定ではあるが、完全な審査にはしばらく時間がかかるだろう。AMSは協議会の人事問題についてはコメントしない。
USDAは農業を強く支援しており、適切な規則の範囲内で製品の宣伝も行い、あらゆる適切な農業活動を保護、推進する公平な環境を確立することに尽力している。AMSは、商業的製品の競争を限定するいかなる行為も許容しない。 ― UADA広報官
一連のメールが一部の怒りを買ったのは間違いない。Josh Tetrickを「消せ」というジョークまで飛びだしたほどだ。
卵協議会のCEOは調査後に辞任した。Ivyは今年末に離職す予定だが、USDAは彼女が早期退職を選んだと説明している。それはUSDA監査が理由なのか? AEBはコメントしていない。質問はすべてUSDAに振り向けられた。
USDAのSam Jones広報官は、Joanne Ivyが早期退職したことしか認めていないが、「理由はよくわからない」と語った。Jonesはさらに、USDAは協議会の人事問題にはコメントしない、と付け加えた。
Hampton Creekの規定違反を指摘しようとするあまり、AEBは自らの規則を踏み外したのかもしれない ― 公的資金についても。卵協議会の設立を認めた法律には、「卵協議会が収集した資金は、いかなる形であれ、政府の方策あるいは行動に影響を与える目的で使ってはならない」と書かれている。
AEBのメールは現在USDAが審査中であり、後日追加情報が得られるはずだとJonesは言っている。情報公開法によって入手されたメール全文はここをクリックすれば読める。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)