内容満載のGoogle I/O、おみやげもたくさん ― US記事まとめ

米国時間6月25日、GoogleのI/Oカンファレンスが行われた。つい3週間前のApple WWDCと同じく、その内容は非常に盛り沢山だった。

恒例の「おみやげ」は、この日に発表されたスマートウォッチOS、Android Wearを塔載したスマートウォッチを、3種中2種選べる。当日持ち帰れたのは、Samsung Gear LiveかLG G3 Android Wearのどちらかだが、MotorolaのMoto 360は正式発売され次第配布される。

その1つであるLG Gのファースト・インプレッションを、Darrel Etherington記者が報告している。Google Glassでおなじみの「OK, Google」で音声入力を起動できる。口元に持ってきやすいウォッチでは音声入力はスマートフォン以上に役立つだろう。騒がしい会場でもよく認識したという。

Etherington記者は、この日は配られなかったMoto 360も使ってみる機会を得た。何といっても特徴はその「丸型」。第一印象ではその「大きさ」に驚くというが、丸型ゆえにか、着用してみるとさほど大きさを感じないという。四角形に比べて、スペースが無駄になることが懸念されているが、現時点では感じないとのこと。ステンレス側と本皮のベルトを採用するなど、外観での差別化をはかっている(機能は3者横並び)。

Android Wearスマートウォッチ三機種の比較は: こちら

AppleのiWatchが噂される中、Googleは各社からバラバラなデザインのウォッチが出てくることを嫌い、まずAndroid Wear OSで基盤を固めたというところだろう。


おまけのまた「おまけ」が、予想外の話題を呼んでいる。参加者全員に配られたダンボールの塊は、なんと「組み立て式VRヘッドセット」だった。紙製ながら、専用アプリと組み合わせると、疑似Occulus Riftの世界が味わえる。磁石を利用した専用ハードボタンまでついているそうだ。

Googleドライブユーザーを喜ばせたのが、Quickoffice統合でネーティブOffice互換に、暗号化もサポートというニュース。

Word、ExcelなどのMicrosoft Office文書は、これまでGoogle Driveの文書に変換してからでないと編集できなかったが、これを直接編集できるようになる。QuickOfficeは2年前に買収したテクノロジーで、Googleのネイティブ・クライアント・テクノロジーを使用するため、当面Chromeでしか動作しない。Android版、iOS版は開発中とのこと。

クラウドレコーダーのAereo最高裁で敗れる


Aereo(エーリオ)は、テレビ番組をストリーミングで配信するサービスだが、そのしくみは極めてユニークだ。超小型のテレビアンテナを大量に並べて、その一つ一つをユーザーに割り当てる(貸し出す)。そこで受信した番組をユーザーに送り、形の上では、ユーザーが自分でアンテナを立ててテレビを見ているふりをすることによって、テレビ局の権利を侵していないと主張する。

もちろん、スタート当初からテレビ局の激しい抵抗にあい、裁判に持ち込まれた。控訴審でいったんは著作権法に「触れない」と裁定されたが、結局最高裁でくつがえされ「違法」の烙印を押されることになった。争点はこのサービスが「公開か非公開か」という点に集約され、Aereo側は「ユーザーがチャンネルを合わせない限り動作しないから、一般のストリーミングとは違う」と主張したが、受け入れられなかった。

Aereoは裁判を抱えながらも積極的に事業展開を続けており、最近ではGoogleのChromecastにも対応したが、現在サービスは中断しており、再開は極めて困難だろう。

ネット上にはAereoを応援する声が多く寄せられているが、「アンテナを人数分並べる」という卓抜なアイデアも、「著作権法をかいくぐる」ことのみが目的となると、技術的にも支持しにくい。

Facebookに若者が戻ってきた!?

Facebookが高校生以下のティーンに人気がないことは、衆知の事実となっている。Facebook自身もそれを認める発言をしたことがある。要するに若者にとって「クールじゃない」ということらしく、自己消滅型メッセージサービスのSnapchat等が人気を博している。

そんな中、Forrester Research社が実施した調査の結果、12~17歳の半数近くが1年以上Facebookを使っていると回答した。今のところ若者離れ解消を裏付ける調査はこれひとつであり、その理由もFacebookの人気回復というより「スマートフォンの普及」だろうと言われている。

FacebookがInstagramを買収し、買収できなかったSnapchatに対抗して、新アプリのSlingshotを開発したのも、若者にとって「クールな」サービスを作ることが大きな目的だ。Slingshotについては先週のまとめでも紹介したが、最近になって日本を含めて全世界で利用可能になった。

Apple AppStoreの激震は緩和?


iPhone/iPadのアプリを提供するAppleのAppStoreは「審査」が厳しいことで知られているが、また一つ大きな制約が加わった。ビデオを見たりソーシャルな共有で“ごほうび”をくれるアプリはApp Storeから締め出しというもので、近く提供されるiOS 8に向けての大改革だ。

iOSアプリ、特にゲームアプリには、さまざまな特典を提供して、ユーザーにアプリ内購入を促したり、関連アプリをダウンロードさせたり宣伝させる手法が定着している。しかしAppleは、元々利用規約に書かれていたルールを厳しく適用することによって、多くのアプリ開発者に拒否通知を送っているようだ。

そして、アプリ業界が大揺れする中、アプリ拒絶方針がやや緩和されるというニュースが流れた。変更の内容としては、単にビデオを見たり、ソーシャルネットワークに投稿することに「ごほうび」を与えるものはOKになるらしい。

どうやらチャートのランクを操作しようとするものは依然厳禁のようだ。Appleは「アプリの発見」に重点を置いているため、順位に不自然な影響を与える行為を取り締ろうということらしい。

ドローン連続飛行への一歩

指先サイズの超小型から、ビデオカメラ塔載や、ピザ配達まで様々なドローン(無人飛行物体)が登場するが、これは小鳥のように電線の上にとまって電力を補給するというドローンの話題。無人ドローンの操縦はリモコンでできても、泣きどころはバッテリー。そこで、電線の上に「とまって」電気を盗む「空中給電」が議論されている。一つの課題は「とまる」こと。クワッドコプターならホバリングできるので電線に着線?することも難しくないだろうが、ビデオでは固定翼の飛行機をとまらせる方法も試行している。もう一つ、記事では触れられていないが、電気を盗んでいいわけもないし、それ以上に電線切断などの危険もあるため実用には困難が伴うだろうが、鳥のように電線にとまるドローンの姿を想像すると楽しい。

ストレージ戦争の激化が続く

Googleが3月にクラウドストレージを大幅値下げし、AppleもiCloudの汎用ストレージ化を発表する中、Microsoftは無料クラウドストレージの容量を倍増して15GBに、Officeユーザは1TBへと拡張した。

Office 365の定額利用料金を払っているユーザーは1TBを与えられ、OneDriveユーザーは無料で15GB、月額1.99ドルで100GB、3.99ドルで200GG使える。Office 365は個人用で月額6.99ドルなので、1TBのストレージのためと考えても安い。Homeアカウントなら月額9.99ドルで5人まで使え、一人につき1TBのストレージが与えられる。Microsoftとしては、ストレージをエサに、Office 365の定期利用を促進したいところなのだろう。

ワールドカップ2題

さほどサッカーに熱心でないアメリカが、ワールドカップでグループリーグを突破した。さすがにTechCrunchでメインの話題になることはないが、関連記事をご紹介する。

まずは、1930年からのワールドカップを写真やビデオで振り返る特設サイトが公開中という記事。サイトには、1930年ウルグアイ大会以来の写真やトリビアなどが載せらている。2002年の日韓大会については、「イタリアとスペインは、それぞれ決勝トーナメント1、2回戦で韓国に敗れたが、いずれの試合もワールドカップ史上最も議論を呼ぶ判定だった」などと書いている。情報はWikipediaやFIFAのサイトなどから集めたものとのことなので、目新いものはないかもしれないがコンパクトで読みやすい(英語のみ)。

サイトを作ったのはドイツの会社だが、開発者はスペイン人で、残念ながら記事のインタビュー時点で、母国はグループリーグで敗退してしまっていた。

もう一つは、ワールドカップの最新ゴールのアニメGIFをツイートする「ReplayLastGoal」の記事。ゴールのビデオをGIFアニメで流してくれるTwitterのロボットだ。仕事中でテレビが見られない「自分たち」のために開発したそうだ。

そしてもちろん気になるのがFIFAからのクレーム。記事公開後まもなくアップデートが入り、FIFAから削除要請があった旨、Twitterから連絡が来たそうだ。しかし、日本時間7月1日15時現在、まだアカウントは生きているようなので、こっそりTwitterでワールドカップを見たい、という方は@ReplayLastGoalをお試しあれ。

Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。