写真スタジオよさらば、colormass仮想写真ツールの登場

IKEAは、デジタルイメージングを使用して製品マーケティングを次のレベルに引き上げるために、限界を押し広げたリーダーの1人だ。IKEAのカタログやそのウェブサイトを見ると、スウェーデンのソファー、コーヒーテーブル、スタイリッシュなランプがいっぱいの部屋を見ていると思うかもしれないが、実際に見ているのは非常にリアルながら、デジタル処理によって生み出された3D複製なのだ。そのような複製は次世代の小売に利用されよとしている:ARアプリだ。このアプリを使えば、何を買うかを検討しているときに、商品を選んで部屋の中に置いてみるといったことが可能だ。

こうしたものは、とてもクールだが、もしあなたが製造業者、小売業者、もしくは手に触れる物を製造したり売ったりしている者だとしたらフラストレーションがたまる代物でもある。誰もがIKEAのような在庫システムを作るだけのリソースを持っているわけではないからだ。但し、これまでは。

ベルリンを拠点とするスタートアップcolormassは、誰もが自分の商売に向けてIKEAスタイル体験を再現することができるようなプラットフォームを開発した。本日(米国時間9月18日)TechCrunch DisruptのBattlefieldでプレゼンテーションが行われた。

家具製造会社(または製造分野の他の事業者)は、企業の製造プロセスの一部として作成される、自身の製造ファイルを提供する。そのファイルはテクスチャ、色、およびその部品に関連するその他の情報を提供するものだ。するとcolormassはコンピュータービジョンアルゴリズムを使って、それらのイメージを本物そっくりの3Dモデルに変換する。これらのモデルは異なるテクスチャや色に変更することが可能で、その後様々な(やはり仮想的な)シーンの中に埋め込まれる。例えばこんなものや:

こんなものだ:

結果として得られるサービスは、IKEAが使っているようなシステムを作成したり、あるいは従来のように様々な物理的プロダクトを実際に製造、配置して写真を撮ったり、というやり方に比べると遥かに安いコストで提供される。

「IKEAのような企業は、これを行うためにとても洗練されたソフトウェアを使用しています」と、共同創業者のBalint Barliは語る。彼はTas SoltiとBenjamin Foldiと共にColormassを設立した。「3Dについて何も知らなくても、誰もがこれを行うことができるようにしたいと考えています。 これまではIKEAがやることをしたいのであれば、 特殊なハードウェア、高価なソフトウェア、そして3Dでの多くの経験と訓練が必要でした。でもそれは、もう必要ありません」。

最近私たちが市場で目にしてきたコンピュータビジョン開発の多くは、はっきり消費者向けアプリに焦点を当ててきた。顔を可愛い動物のようにしてくれるフィルタだったり、新しい髪の色を試せたり、私たちをビデオゲームの中のアクションの中に登場させたりといった具合だ。

実際、ビデオゲームやコンシューマ向けアプリが、最初にcolormassの創業者たちがスタートした場所だった。BarliとSoltiの初期の仕事は3D再現技術の分野のものだった、より詳しく言えば、人間の顔を再現して、ビデオゲームや他のアプリケーション(例えばヘアカラー)で使用できるようにすることだった。

とはいえその市場は、競合で混み合っていると同時に、ある意味、より一般化つつある場所だった。そこで彼らは、同じコンピュータービジョンテクノロジーが適用できる別の場所を考え始めた。

2人はやがて、3Dイメージングの専門知識を持つFoldiと組んだ。「私たちはすぐに、この技術は別の方向に進むことができることに気が付きました。特に、より良くそしてより安く、しかし高品質のマーケティングならびにプロダクトデザインの作成に対しての利用です」とBarliは語った。

Barliによれば、2016年に家具メーカーたちと共同作業を開始し、今では中規模程度の品揃えの顧客たちが1億ドル程度以上の収益をあげているということだ。

彼は顧客たちは(少なくとも今のところは)名前を挙げられたくないと語った。「なにしろ、これらの画像は本物の写真のように見えるので、顧客たちはあたかもそれが、本物の画像だという印象を崩さないようにしたいのです」。

Colormassが、企業市場の中にある明確なギャップに取り組んでいることは興味深い。Barliに言葉を借りるなら「手に触れることができるものなら何でも」デジタル化する手助けをしてくれるのだ。これを拡張していくことも計画されている。例えば3Dルームの中で複数の製品やイメージを操作できるようにすることなどだ。しかし彼はまた、デザインや家庭用品コミュニティ向けのB2Bサービスは「中期目標に過ぎない」とも語る。

「長期的な目標は、すべてのデジタル化された製品を集約して、3Dアセットの最大のリポジトリになることです。製品マーケティングに使用することもできれば、ゲームやその他のVRやARアプリケーションにも利用することのできるライブラリということです」と彼は言う。「3Dコンテンツは大きな問題です。なぜなら単に十分な数がないからです」。同社は既にこれを構築し始めており、顧客との契約を結ぶことで、特定の画像をcolormass自身のデータベースに保存することができるようにしている。

これは同社にとって興味深い機会の扉を開くだろう、この世界のAutodeskやAdobeといった企業だけでなく、Gettysのような大規模フォトエージェンシーにとってもライバル(あるいは不足を補ってくれる格好の買収相手)になることだろう。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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