デジタル薬局のScriptDashは米国時間12日、社名の変更とシリーズBで2300万ドルを調達したことを発表した。新しいAltoという社名は、同社が今後単なるデリバリーサービス以上のビジネスを行っていくという意気込みの表れだ。
「Altoのラテン語源は”高められた”や”高い”という意味の言葉です。この言葉の通り、私たちはデジタル薬局のカスタマーエクスペリエンスを高めていきます」と共同創業者のMattieu Gamache-Asselin氏は語る。
2015年に創業のAltoは、これまでに10万以上の処方薬をサンフランシスコ・ベイエリアに住む1万2000人の患者に届けてきた。同社は今後、医者やクリニック向けに薬の処方を簡略化するバックエンド・システムを提供していく構えだ。
「医者や専門家たちが話し合い、協力して何かを生み出そうとしていますが、彼らにはテクノロジー・プラットフォームが必要なのです」とGamache-Asselin氏は電話で語る。
もちろん、医者や薬局のコミュニケーション問題を解決しようとする企業はAltoだけではない。ボストンを拠点とするZappRXは、現代の薬局業界に存在する古びたインフラストラクチャーにとって代わるモバイルソリューションを提供する企業だ。また、Capsuleはニューヨークで薬品のデリバリービジネスを行っているし、Zipdrugは処方薬デリバリーのPostmatesのようなビジネスを行っている。
それぞれの企業が異なる強みを持ち、異なるアプローチで問題を解決しようとしている。しかし、Altoがやろうとしているのは、バックエンドを近代化し、同社のコミュニケーション・プラットフォームをプロバイダーたちに使ってもらうというものだ。
この取り組みによってAltoの売上が伸びる可能性もある。Alto共同創業者のVlad Blumen氏によれば、処方薬の補充(リフィル)は薬局ビジネス全体から見れば、ほんの僅かな規模でしかないという。店舗での薬品販売や先日付の処方箋の発行が一番活発な領域なのだそうだ。だから、Altoが成長するためには、医者が同社のシステムを通して多くの薬を処方する必要がある。それを考えれば、同社が処方薬のデリバリーだけでなく、バックエンドのシステムを構築しようとしているのは理にかなったことだと言える。
また、Altoは今回調達した資金を利用してBay Area以外の地域にも進出していく構えだ。同社の競合企業の多くは特定の都市や地域にフォーカスしている。そのため、地域を拡大した後、Altoがどのようにビジネスを運営していくのかには注目だ。
今回の資金調達ラウンドをリードしたのはGreenoaks Capitalで、その他にもJackson Square Ventures、DSTのRahul Mehta氏、Meritech CapitalのCraig Sherman氏、Y CombinatorおよびTwitch出身のJustin Kan氏、そして彼の兄弟で現Cruise COOのDaniel Kan氏などが本ラウンドに参加している。
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