日本で働く外国人労働者のビザ取得をサポートする「one visa」を提供するone visa。同社は5月29 日より、海外出張や海外旅行時のビザ取得がオンライン上で完結する新サービス「one visa visit」のクローズドβ版を提供することを明らかにした。
それに先立って本日5月23日より、まずは先着100名を対象に同サービスの事前登録受け付けを開始する。
短期滞在ビザの取得手続きをオンライン上でスムーズに
one visa visitは商用や旅行目的での短期滞在ビザを、オンライン上でサクッと取得できるサービス。対象となるのは電子ビザ(e-Visa)に対応している国で、クローズドβ版ではインドやブラジル、ベトナムなど19カ国から始める。
これまでもオンライン上でビザを取得すること自体はできたが、そこにはいくつかの課題があった。まずは言語の壁。各国の電子ビザを取得する際には、日本語ではなく外国語の画面に沿って手続きを進めることになる。場合によっては部分的にしか英語に対応していないケースもあるそうで(他の部分はその国の言語)、そうなると一気に取得のハードルが上がる。
もちろん旅行代理店に頼むという手段もあるが、人件費がかかるのでその分費用がかかるのは仕方のないこと。one visa代表取締役CEOの岡村アルベルト氏によると、国によっても異なるが2〜3万円かかることも珍しくないという。
一方one visa visitは費用や言葉の課題を解決することに加え、取得するまでの期間が短いという点が大きな特徴だ。日本語の画面に沿って進めるだけで各国のビザ申請ができ、費用は数千円から。手配にかかる日数は数営業日だが、早ければ1日かからずに電子ビザが届くケースもあるそうだ。
「本人がビザ取得に必要な情報を入力するため、スタッフの人手を介さずコストを抑えれる。またこれまでは各国ごとにビザ取得のフローや必要な手続きがそれぞれ違い、毎回別のルールに沿って1からやる必要があった。one visa visitの場合、対応している国については全て同じフローでビザを取得できる」(岡村氏)
今回のクローズドβ版ではなくその次のフェーズにはなるが、過去に一度登録した情報を引き継ぐことで、2回目以降の申請時の負担を削減できるような機能も追加するそう。またそのタイミングでは海外出張の機会が多い法人の利用を見越して、従業員のビザの管理や代理取得ができる機能も検討していくという。
海外進出時のハードルを下げ、心理的な国境をなくす
そもそもone visa visitを開発した背景も、2017年6月にオープンβ版をリリースしたone visaの利用企業が増える中で、新たなニーズを見つけたからだ。
one visaは冒頭で触れたとおり、外国人を雇用する企業のビザ取得や管理を簡単にするサービスで、現在ITベンチャーを中心に約180社が利用する。one visaの導入企業では社員が海外出張にいく機会も多く、その際に国ごとにビザ取得のフローが異なるなど面倒な作業が発生していたため、一気通貫でスムーズに手続きができるサービスの必要性を感じたのだという。
「海外に行く際にハードルとなるのがビザの問題。このプロセスを可能な限り簡単にして負担をなくすことで“心理的な国境”を取り除き、人材が流動的に活躍できるようにしたい」(岡村氏)
外務省が発表している「海外進出日系企業実態調査」をみても、2016年の海外に進出している日系企業数(拠点数)が7万1820拠点で過去最多を記録するなど、日本以外の国でビジネスを展開しようとする企業も増えてきている。ビザ取得を簡単にしたいというニーズは今後も増えそうだ。
また岡村氏自身はアメリカで移民が多くのスタートアップを立ち上げたり、重要なポストについている現状を受け「異なる文化を持っているからこそ、自国と移住先の文化の違いがわかり、新しい視点から物事を考えたり価値を提供できるのではないか」と考えているそう。
そのため将来的には「まずはone visa visitで短期ビザを取得し、試しに冒険にいくような形で海外に行ってみて、定住して何か新しいチャレンジをしたい国が決まったらone visaを活用して必要なビザを取得する」といったように、短期と長期双方のビザ取得を簡単にする仕組みを構築していく方針。
それによって「異なる価値観を持っている人がいろいろな国に行き、新しい発見を得たり、それまでにない価値を提供しやすくなる環境を整えていきたい」(岡村氏)という。