Alibaba(アリババ)の創業者で億万長者で知られるJack Ma(ジャック・マー)氏が、2020年10月に最後に公の場で姿を見せてから3カ月ぶりに、農村部の教師100人にオンライン会議であいさつをしたことが明らかになり、香港ではeコマース大手の同社の株が8%以上も上昇した。
このビデオ通話の動画は、Alibabaが本社を置く中国東部の浙江省政府が後援するニュースポータルに最初に投稿され、Alibabaの広報担当者によって確認された。
2020年12月に彼は自らが制作したテレビ番組の収録に参加しなかったとメディアが報じた後、マー氏の行方を巡って憶測が渦巻いていた。脚光を浴びるのが好きなことで知られるマー氏だが、自身のeコマース帝国であるAlibabaとフィンテック大手のAnt Group(アントグループ)は、ここ数カ月の間にますます中国当局の攻撃の的となっていた。
マー氏が最後に公の場に姿を現した際、高官の前で中国の金融規制システムを激しく非難した。報道によると、彼の物議を醸す発言により、中国の規制当局は、史上最大の株式公開となるはずだったAnt社のIPOを突然中止することになった。
Antはその後、政府の指示の下、企業再編と規制遵守に取り組んでいる。中国最大のeコマースプラットフォームであるAlibabaもまた、市場規制当局がAlibabaの独禁法違反の疑惑について調査を開始したことで注目を集めている。
ジャック・マー氏のインターネット帝国に対する最近の取り締まりは、中国の超富裕層や民間の影の実力者に対する中国政府の不安感の高まりを示しているとの意見もある。
「現在、AlibabaとそのライバルであるTencent(テンセント)は、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)といった米国のハイテク企業が同国で行っている以上に、より多くの個人情報を管理し、中国での日常生活に密接に関わっている。そして、中国の巨大テック企業は、米国の同じような企業がそうするように、時には小規模な競合他社をいじめ追いやり、イノベーションを阻害することもある」と、ニューヨーク・タイムズ紙コラムニストのLi Yuan(リ・ユアン)氏は書いている。
「共産党の一員でなくとも、彼ら(テック企業)を制限する理由はわかる」とも。
50秒のクリップでは、マー氏は浙江省の典型的な水辺の町を描いた装飾画のように見えるものを背景に、カメラに向かって直接話している。花瓶に生けられた花と、ゆったりとくつろいでいる男性を象った陶器の置物とともに、積み上げられた本の山の中には美術史の本が見られる。
マー氏は、ジャック・マー財団によって毎年優れた農村部の教師を表彰するために設立された「Jack Ma Rural Teachers Award(ジャック・マー農村教師賞)」を受賞した100人の教師に向けあいさつを行った。マー氏がどこからスピーチをしていたのかは不明だが、ビデオは彼が2021年1月10日に浙江省農村部の寄宿学校を訪問している様子を短時間見せている。授賞式は今年、パンデミックのためにオンラインで行われることになりましたと、マー氏は受賞者に語った。
マー氏はは引退を発表した際、教育者としての原点に戻り、教育の慈善活動にもっと時間を割くと約束したが、強大な権力を持つAlibaba Partnershipの終身パートナーとして同社にかなりの影響力を持ち続ける。伝説の億万長者は杭州で英語教師としてキャリアをスタートさせ、中国のTwitterに相当するWeibo(新浪微博)では「ambassador for rural teachers(田舎の先生の大使)」という愛称で呼ばれている。
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画像クレジット:Jack Ma / Source: ZJOL
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(翻訳:Nakazato)