動画制作「Viibar」に撮り下ろし映像を使わない低料金プラン、「PIXTA」の素材活用

今年は「動画元年」と言われているが、調査会社のシード・プランニングによれば、2013年の国内ネット動画広告市場は、前年比329%の132億円に成長しているそうだ。動画広告以外にも、最近は自社サイトでプロモーション動画を載せるのは珍しくないし、実はTechCrunch Japanも起業家を編集部に呼んで動画インタビューを行っていたりする。我々の話はさておき、動画ニーズをさらに掘り起こすべく、映像制作に特化したクラウドソーシング「Viibar(ビーバー)」が2日、エントリー層向けの低料金プランを発表した。

Viibarはシナリオライターやカメラマン、編集者、サウンドクリエイターといった各分野のクリエイターを集め、発注者とマッチングするサービス。従来の動画制作の流れは、広告主が代理店に依頼し、そこから制作プロダクションに発注し、さらにクリエイターに仕事が振られるという、多重な下請け構造。Viibarはこれらの中間業者を抜くことで市場価格の半分程度のコストでの動画制作を実現するとともに、クリエイターの利益も最大化しようとしている。(価格は30万円〜、60万円〜、100万円〜の3プラン)。2月にはグロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズから3億円を調達した

そんなViibarが2日に発表した新プランは、写真・動画素材の販売サイト「PIXTA(ピクスタ)」が扱う770万点以上の素材を使って映像制作を依頼できるようにするもの。自前で撮影する「撮り下ろし」の映像を使うのに比べて、従来よりも低コストに抑えられるのが特徴だ。HD画質の料金は15秒で14万8000円、30秒で22万8000円、60秒で29万8000円。ナレーションを入れる場合はプラス4万円〜となっている。

気になる動画素材はCG作品や風景、人物など多岐にわたるが、PIXTAで最も売れているのは、日本から世界各国に向けて光線が発信されるCG(企業がグローバル展開していることをアピールするために使ったりする)なのだという。そのほかにも、渋谷のスクランブル交差点で行き交う人々をスローモーションで撮影した映像などが人気なのだとか。

撮り下ろし映像を使った作品と比べると表現力に制限はありそうだが、「動画は高くて手が出ない」と考えている企業にとっては打ってつけといえるかもしれない。Viibar代表取締役の上坂優太は「新プランを試してもらい、その後、撮り下ろしプランを始めていただけたら理想」と話していて、ユーザーの裾野を広げる狙いのようだ。一方、PIXTAとしては素材活用の幅を広げ、動画制作でストック素材を使う文化を広げていきたいのだという。

ところで、写真・動画素材の販売サイトはゲッティイメージズやアマナイメージズ、シャッターストックといった大手があるが、なぜスタートアップのPIXTAと新プランを共同開発したのか。この点について上坂は「何よりスピードが速いから」と話す。「やりっぱなしでなくPDCAを高速で回すためにはスピード感を持った会社とやりたかった。スピードが遅いと取り組み自体の鮮度が落ちてしまう。(PIXTA社長の)古俣さんと仲良くさせていただいていて、何かやりましょうと話していたのもありますが(笑)」。ちなみに今回の新プランは、交渉開始からわずか1カ月で実現にこぎつけたのだという。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。