動画制作プラットフォーム「Crevo(クレボ)」を運営するPurpleCowは2月25日、サイバーエージェント・ベンチャーズとB Dash Venturesを割当先とする総額約1億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。社名についても2月25日付けで「Crevo株式会社」に変更する。
今後は動画制作に集中
PurpleCowは2012年6月の設立。当初はデザイン特化のクラウドソーシングサービス「designclue」を展開していたが、その後2014年3月にクラウドソーシングで動画を制作するCrevoをスタート。今回の資金調達と社名変更を契機に、動画制作事業に注力する。
Crevoはこれまで250社が利用し、累計依頼総額は1億円を突破する見込み。「これまでは『まず1本動画を作ってみよう』という感覚で使ってもらっていたが、3〜4カ月前からはリピート利用も増えてきた。多いところでは1社で15本程度制作しているケースもある」(PurpleCow代表取締役の柴田憲佑氏)
Crevoで制作できる動画は、ロケをして人物の撮影をして…といったものではなく、アニメーションを中心とした「非撮影動画」と呼ばれるジャンル。「日本は実写が好まれる傾向にある。だが動画を使ったマーケティングを自社で調べたところ、8対2くらいの割合で非撮影動画だったりする。作り方も違うし、無理して撮影動画を作るよりまずは非撮影に絞ってやっていきたい」(柴田氏)。動画制作プラットフォームをうたうスタートアップといえば、グロービス・キャピタル・パートナーズなどが出資するViiberもあるが、同社は撮影も含めた動画制作を行っている。
利用用途としては、サービス・製品の紹介動画が中心だが、デジタルサイネージをはじめとしてリアル店舗で利用されるケースも増えてきた。社内でディレクションを行い、クラウドソーシングでクリエーターが仕事をするため、18万円からの制作が可能(平均単価は40万円程度)で、「動画制作を200万〜300万円から5分の1程度に下げたいというニーズにマッチしている。もともとはウェブサービス事業者がユーザーの中心だったが、最近では大企業からの引き合いも増えている」(柴田氏)のだそう。
クリエーターは800人体制に拡大、今後は営業を強化
同社では、今回の調達を動画制作支援システムの開発強化を進めるほか、営業を中心とした人材強化、広告宣伝などを進めるという。現状は企業側からの問い合わせで制作を進めているが、柴田氏の話を聞く限り、今後は営業力がキモになると見ているようだ。今後増えるであろう発注に対応するべく、同社ではこの1年で制作体制を強化。800人のクリエーターをネットワーク化しているという。
また年内にも海外へ進出する見込み。「まずは国内の顧客満足度を上げることが優先なので詳細は未定。だが動画の制作単価が高い米国、もしくはアジアを検討している。すでにクリエーターの7割は外国人で、制作フローとしては地域や言語を問わない状況ににっている」(柴田氏)