医療機関向けAIチャットボットのBot MDがアジア市場拡大のため5.3億円を調達

医療従事者は時間と闘っている。新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の状況ではさらに厳しい。シンガポールに拠点を置くBot MDは、時間の節約に役立つAIベースのチャットボットを提供している。このチャットボットで、医師は病院関係者に電話をかけたりイントラネットにアクセスしたりすることなく、スマートフォンで重要な情報を調べられるようになる。米国時間2月2日、Bot MDはMonk’s Hill Ventureが主導するシリーズAで500万ドル(約5億2500万円)を調達したと発表した。

SeaX、XA Network、SG Innovateのほか、エンジェル投資家のYoh-Chie Lu(ヨーチー・ルー)氏、Jean-Luc Butel(ジャン=リュック・ブテル)氏、Steve Blank(スティーブ・ブランク)氏も支援した。Bot MDはY Combinatorの2018年夏学期に参加していた。

調達した資金はインドネシア、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどアジア太平洋地域での拡大と、コロナ禍における病院や医療機関からの要望に応える機能の追加に使われる。Bot MDのAIアシスタントは現在、英語に対応しているが、2021年後半にはインドネシア語とスペイン語に対応する予定だ。現在はChangi General Hospital、National University Health System、National University Cancer Institute of Singapore、Tan Tock Seng Hospital、Singapore General Hospital、Parkway Radiology、National Kidney Transplant Instituteといった医療機関でおよそ1万3000人の医師がBot MDを利用している。

共同創業者でCEOのDorothea Koh(ドロシア・コー)氏はTechCrunchに対し、Bot MDは一般に複数のシステムに保管されている院内の情報を統合しアクセスしやすくすると説明した。

画像クレジット:Bot MD

Bot MDがなければ、医師は病院関係者に電話をかけてスタッフの状況を聞き、連絡先を教えてもらう必要があるかもしれない。薬の情報が必要なら今度は薬局に電話をかけることになる。最新のガイドラインや臨床のプロトコルを確認する必要がある場合には、院内のイントラネットに接続されているコンピュータを見つけなくてはならないことが多い。

コー氏は「Bot MDの役割は、医師が必要とするコンテンツを365日24時間検索できる単一のインターフェイスに統合することです」という。

たとえばこのコロナ禍で、医療従事者がチャットボットに「体温を記録」と入力すると、その人の情報があらかじめ入力されたフォームが表示される新機能がBot MDに導入された。多くの場合、医療従事者は自分の体温を記録するために1日に2回、所属組織のイントラネットにアクセスしていたが、コー氏によればBot MDでフォームを使えるようになりコンプライアンスが大幅に強化されたという。

Bot MDの導入にかかる時間は統合する情報システムやコンテンツ量によって異なるが、独自の自然言語処理チャットエンジンによりAIのトレーニングは比較的短時間でできるとコー氏は説明する。たとえば最近Bot MDを導入したChangi General Hospitalでは、10日もかからずに利用を開始した。

Bot MDは電子医療記録(EMR)、請求とスケジューリングの統合、アラート、慢性疾患の追跡などの新しい医用アプリをプラットフォームに追加する計画だ。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Bot MD資金調達シンガポールチャットボット

画像クレジット:Bot MD

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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