千葉大発のドローンスタートアップACSLが未来創生ファンドなどから21億円を資金調達

空撮などで主に使われる一般向けの民生用ドローンでは、安価な中国製の製品が世界的にもシェアを取っているのが現状だ。そうした中で、土木建築現場での点検や測量・測地、物流・宅配といった産業用途に特化した国産ドローンを開発するのが、千葉大学発のドローンスタートアップである自律制御システム研究所(以下ACSL)だ。

そのACSLが1月9日、未来創生ファンドおよびiGlobe Partnersが運営するファンド、みずほキャピタルが運営するファンド、投資家の千葉功太郎氏が運営するDrone Fund東京大学エッジキャピタルが運営するファンドを引受先とする、総額21億2000万円の第三者割当増資の実施を発表した。

ACSLは2013年11月、当時、千葉大学教授だった野波健蔵氏により設立された。研究室で1998年から行われていた独自の制御技術とドローン機体開発・生産技術をベースに、大手企業向けの産業用ドローンに特化して開発を進めてきた。2016年3月には楽天およびUTECから総額7.2億円の資金調達を実施し、共同でゴルフ場での実証実験を行っている。今回の調達で、ACSLの累計資金調達額は約28億円となる。

ACSLが2016年後半にリリースしたドローン「PF1」は、さまざまな用途に対応できるのが特徴。高解像度カメラとジンバルを搭載すれば建物やインフラの点検に、キャッチャーを搭載すれば物流に……といった感じで、農薬散布や測量、災害対策などにも活用できる。

 

2017年前半には、周囲をレーザーでスキャンして周辺環境の3Dマッピングを行う「SLAM」画像処理を実装した、非GPS環境対応ドローン「PF1-Vision」も提供。この機体では、例えばGPS信号の受信できない橋桁下やトンネル、屋内といった環境でも自律飛行でき、施設内壁の撮影による点検作業が可能だ。

また、ドローンを活用して業務改革・無人化を実現したい顧客に対して、最新ドローンとパイロットによる検証環境を提供するサービスも、ACSLでは行っている。本格導入の前に、ドローン導入による効果、有用性の評価検証が実施できる。

ACSLは今回の調達資金について「今後の海外進出によるグローバル環境での競争、技術革新の加速を見据えた、中期的な経営資本の増強」と位置付け。「画像処理やAIによるエッジコンピューティング、自律制御の進化、さらに、目視外や第3者上空飛行を見据えた安全性・信頼性の向上、IoT等最新技術の統合のための開発激化を見通し、中期的な成長戦略の実現を目指す」としている。

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TechCrunch Japan

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