Flipkart(フリップカート)はインド時間7月12日、36億ドル(約3973億円)の資金を新たに調達したと発表した。ポストマネー評価額は376億ドル(約4兆1492億円)。今ラウンドは、インドのECコングロマリットであるFlipkartが、早ければ2022年初めに上場するためのプレIPOラウンドであろうと見られている。
今回の資金調達はインドのスタートアップとしては最大規模のもので、GIC、カナダ年金投資委員会(CPP Investments)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)、Walmart(ウォルマート)の他、政府系ファンドであるDisruptA、Qatar Investment Authority(カタール投資庁)、Khazanah Nasional Berhad(カザナ・ナショナル)、Tencent(テンセント)、Willoughby Capital、Antara Capital、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Tiger Global(タイガー・グローバル)が出資している。
12日の投資は、ソフトバンクがFlipkartの株主として復帰したことを意味する。ベンガルールを拠点とする同社が、2018年に220億ドル(約2兆4277億円)の評価額でWalmartに過半数の株式を売却した際にエグジットしたソフトバンクは、今回の新ラウンドで約5億ドル(約552億円)を再投資した。
「Flipkartでは、インドの消費者インターネットエコシステムを変革し、お客様にアクセスと価値を提供することに取り組んでいます。世界有数の投資家による今回の投資は、インドにおけるデジタルコマースの将来性と、この可能性をすべてのステークホルダーのために最大化するFlipkartの能力に対する信頼を反映したものです」と、Flipkart GroupのKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)CEOは声明の中で述べた。
「消費者の方々にサービスを提供すると同時に、キラナ(伝統的零細商店)を含む、何百万ものインドの中小企業の成長を加速させることにも注力していきます。新しいカテゴリーへの投資やインド発のテクノロジーを活用してコンシューマーエクスペリエンスを変革し、世界クラスのサプライチェーンを開発していきます」とも。
新たな資金調達の一環として、Flipkartは従業員に対し、彼らが保有する8050万ドル(約89億円)相当のストックオプションを売却する選択肢も与えると、クリシュナムルシー氏は12日に社内に伝えた。
Flipkartはもともと2021年初めに資金調達のために市場に出ており、当初は10億ドル(約1104億円)程度の調達を目指していたとTechCrunchは最初に報じている。
ベンガルールに本社を置くFlipkartは、インドでAmazon(アマゾン)と互角に競合している。米国のeコマースグループである後者は、南アジア市場に65億ドル(約7175億円)以上を投資している。
関連記事
・Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資
・インド政府が「不正行為の蔓延」の苦情に対処するためより厳しい電子商取引ルールを提案
・インドのeコマースベンチャーJioMartが国内200市町村でサービス開始
両社とも、実店舗が小売売上の大半を占めているインドで、積極的に事業を拡大することに苦戦している。また、インドの新しい電子商取引ルールによって、大きな打撃を受けることが予想される。
インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)と、Google(グーグル)とFacebook(フェイスブック)が支援するJio Platforms(インド最大のテレコム事業者)との共同事業であるeコマースプラットフォーム「JioMart(ジオマート)」は、2020年、全国200以上の都市や町でサービスを開始した。
世界で最も急速に成長しているeコマース市場の1つであるインドは、初めてインターネットを利用するユーザーがオンラインで買い物をするようになるにつれて、今後さらに成長することが期待されている。Bain & Companyの推計によると、インドのeコマース市場は、2025年までに3億人以上の買い物客を獲得すると見込まれている。それまでにこれらの買い物客は、オンラインプラットフォームで1000億ドル(約11兆円)以上の価値のある商品を購入しているだろうと、同社は予測している。
近年、FlipkartとAmazonは、インドでの事業拡大のためにさまざまな賭けを行ってきた。両社ともヒンディー語への対応を開始し(Flipkartはさらにいくつかのインドの言語を導入した)、地元の商店との提携を展開している。
Walmart International(ウォルマート・インターナショナル)の社長兼CEOであるJudith McKenna(ジュディス・マッケナ)氏は声明でこう述べた。「Flipkartは、その成長と可能性がインド全体を反映しているすばらしいビジネスです。だからこそ、私たちは2018年に投資を行い、現在も投資を続けているのです」。
Flipkartは、ファッションeコマースのMyntraを含む同社のサービス全体で、国内に3億5000万人以上の登録ユーザーを抱えているという。「Flipkartの物流・サプライチェーン部門であるEkartは、10万人以上の従業員を擁し、インド国内のアドレス可能なピンコードの90%以上に配送を行っており、戦略的な倉庫インフラへの投資と相まって、グループの中核的な強みとなっています。Flipkartはソーシャルコマースの分野に進出し始めており、最近、地元の起業家を奨励するShopsyの立ち上げを発表しました」と同社は述べた。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkart、インド、eコマース、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、資金調達
画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch
[原文へ]
(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)