音声解析AI技術を搭載するIP電話サービス「Miitel」(ミーテル)を手掛けるRevComm(レブコム)は10月5日、シリーズAラウンドで7億円を追加調達し、累計15億円を獲得したことを発表した。これによりシリーズAはファイナルクローズとなる。
第三者割り当て増資による調達で、シリーズAでは日米で投資活動を進めるWiLがリード投資家となり、今回のセカンドクローズはNTTドコモ・ベンチャーズ、グローバル・ブレインが運営するKDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、新生企業投資、Sony Innovation Fund by IGV、ALL STAR SAAS FUND、ディープコア、DNX Ventures、博報堂DYベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、ミロク情報サービスの計10社が新規投資家として加わる。ちなみにファーストクローズ時に、PERSOL INNOVATION FUND、エン・ジャパン、ブイキューブが計8億円を出資済みだ。
今回調達した資金は、新サービス開発、サービス品質向上ための研究開発、海外進出、組織基盤強化などの事業投資に充当する方針とのこと。
セカンドクローズには、各種ファンドのほかに事業会社としてミロク情報サービスが加わっている。同社は、企業向けコンピュータ管理会社で24時間365日対応のコールセンターを運営しており、今後MiiTelを活用して事業の効率化を図っていきたいとしている。
投資家としては、日米で投資活動を展開しているWiLやDNX Venturesのほか、ALL STAR SAAS FUNDのマネージング パートナーである前田ヒロ氏は、アジア向けに約117億円規模のEmerging Asia Fundもファンドも組成。海外展開を見据えた布陣となっている点にも注目だ。そのほか、ソフトバンク系でAI系スタートアップへの投資を進めるディープコアも投資家に加わっている。
RevCommは、2017年7月設立のスタートアップ。2019年にTechCrunch Japanが主催した「TechCrunch Tokyo 2019」の「スタートアップバトル」で応募120社超の中から最優秀賞に輝いたほか、同年開催されたB-Dash Camp 2019のPitch Arenaもダブル受賞。2020年にはGoogle for Startups Acceleratorに採択されている。Miitelはサービスリリース開始約1年半で1万ユーザーが導入しているという。
代表取締役の會田武史氏によると「昨年のB-Dash Camp2019やTechCrunch Tokyoでの優勝で認知されたことで、インバウンドでの問い合わせが増えた」とのこと。新型コロナウイルスの感染蔓延により、社会全体がリモートワーク導入に向かう中で、Miitelへの問い合わせはさらに増えているそうだ。搭載する音声解析エンジンについても改良が進んでおり、さらに高い精度での音声テキスト変換が可能になっているほか、オープンAPIとすることで音声解析ニーズのある企業との提携も進めていく予定だ。
Miitelは、電話営業やコールセンター業務での会話のラリーの回数や、話す量・聞く量、会話のジャンル、声の高低・遅速などをAIで検出し、高精度のフィードバックを行うことで商談獲得率・成約率向上を実現するIP電話システム。顧客と担当者が「何を」「どのように」話しているかわからない、というブラックボックス化問題を解消して、成約率を上げ、解約率と教育コストの低下につなげることを目指している。CRMツールとしては、Salesforce(セールスフォース)やサイボウズのkintone(キントーン)と連携に対応している。
また、担当者自ら学ぶセルフコーチングツールとして、リモートワーク環境の早期構築ツールとして活用されているほか、リモートワークにおける社内会議向けの議事録作成ツールなどにも活用事例が拡がっているそうだ。