2008年のリーマン・ショック以降、下降線をたどっていた国内の未公開企業の資金調達額が増加に転じた。ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)の調べによれば、2013年には315社が合計584億円を調達し、前年の522億円から増加。1社あたりの調達額(中央値)は5000万円で、前年の2000万円から2.5倍に拡大した。大型の資金調達が相次いだことに加えて、2013年に設立されたファンドが本数、規模ともに大幅に増えたことも下支えした。これらのファンドは2014年から投資を本格的に実行することから、引き続き未公開企業ベンチャーへの投資拡大が継続されると推測している。
資金調達を行った315社(調達金額が不明な企業を含めれば472社)のうち、設立3年未満のシード・アーリー期の企業が66%と半数を超えたのも特徴で、これらの企業の資金調達額は全体の43%を占めていたという。
調達金額が増えた一方で、資金調達社数は2012年の425社から315社減少している。その理由についてJVRは、「2011年~2012年に数多く生まれたシードアクセラレーターによるシード投資が2013年に入って一巡し沈静化したこと、そして、投資の大型化傾向から選別が厳しくなったことなどが原因」と指摘。2014年についてはファンドの充実、シードアクセラレータ支援先の成長による資金調達など、社数の増大に期待ができるとしている。
2013年に資金調達を実施した企業のうち、インターネットを利用したビジネスモデルを持つ企業の社数は2013年に83.7%と、前年の78.5%から増加。資金調達額は全体の65.2%と、2007年以降増加傾向が続いている。
地域別に資金調達を行った企業を見ると、関東が80%で東京に一極集中している様子が伺える。名古屋や大阪は合計しても1割に満たなかった。また、海外で起業したベンチャーの割合は2012年の2%から10%に増大している。
資金調達のランキングでは環境関連のエリパワーが36億円でトップ、2位はバイオテクノロジーのヘリオスで24億円。IT関連では、コンテンツを雑誌のようなデザインで閲覧できるサービス「Antenna」を手がけるグライダーアソシエイツが20億円で3位、ソーシャルゲームのgumiが19億円で4位、ネットワーク仮想化技術のMidokuraが16億円で5位にランクインしている。
ベンチャーキャピタル(VC)の投資金額ランキングでは、事業会社自らがベンチャー企業への出資・投資活動を行うCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)や外資系VCの健闘が目立ち、上位30社中、CVCが7社、外資VCが6社ランクインした。投資金額ランキングの1位は産業革新機構で108億円、2位はジャフコで34億円、3位はニッセイ・キャピタルで29億円。