CEOで協同ファウンダーのAbel Mathewによると、デバッグ・サービスBacktrace I/Oを立ち上げたのは、協同ファウンダーたちがアドテック企業AppNexusの技術者だったとき実際に直面した問題を解決するためだった。
Mathewによると、Backtraceのねらいは“デバッグという工程を解決すること”。それは、多くの企業が、“古い時代遅れのソリューションのつぎはぎ細工”や手作りのツールで対応している工程だ。
“多くの場合、開発に要する時間の50%以上がデバッグに費やされるのも、そのせいだ”、と彼は語る。“業界全体としては、デバッグのコストはとてつもなく大きい。デベロッパーが正しいソリューションを採用していないときには、そのコストはさらに高騰する”。
同社はこのほどシリーズAで500万ドルの資金を調達し、その調達総額は610万ドルになった。ラウンドをリードしたのはAmplify Partners、これに、Work-Benchとこれまでの投資家Rally VenturesとTribeca Venture Partnersが参加した。AmplifyのSunil Dhaliwalが、Backtraceの取締役会に加わる。
“技術者が冷戦時代に発明されたデバッグ技術を使ってるかぎりは、ソフトウェアが世界を食べるという事態にはなりえない”、今回の投資のプレスリリースでDhaliwalがそう述べている。“今のソフトウェア開発は、継続的デリバリやWebスケールのデプロイメント、そしてエンタープライズクラスの信頼性が、その特徴と性格を指すキーワードだが、Backtraceはそのような時代にふさわしい必要不可欠なデバッグ能力を自動化することによって、より良いソフトウェアを作る”。
Backtraceには、検索可能なエラー報告、すべてのクラッシュのデータベース、デバッグアシスタント、自動化アラート、などなど独自の機能がある。Backtraceの違いを示す例としてMathewが挙げるのは、アプリケーションがクラッシュすると従来的にはスタックトレースに頼ることが多いが、Backtraceはそれに加えてさまざまなコンテキスト情報(そのときの変数の値など)も提供するから、クラッシュしたときの全体的な状況がよく分かる。“デベロッパーは十分な量のデータを効率的に調べることができる”、と彼は主張する。
顧客には、Mathewが前にいた会社AppNexusのほかに、MediaMath, Circonus, Fastlyなどがいる。彼によるとBacktraceはこれまで、エンタープライズソフトウェアやインターネットのインフラストラクチャなど、要求の厳しいソフトウェアに注力してきた。その多くが、大企業の顧客だ。しかしBacktraceそのものは、どんな規模のソフトウェア開発でも、そしてどんなデベロッパーでも、十分に利用できる、という。
“小さなスタートアップでも、インディーのビデオゲームデベロッパーでも、Backtraceはそのニーズに応えることができる。ソフトウェアがあるところには、必ずエラーとバグがある。Backtraceは規模の大小を問わず、エラーの管理と分析という問題解決のお手伝いをする”、と彼は述べている。