大学の出欠確認など、最近は何にでもアプリが使われているが、数が多いからといってひとつひとつのアプリが良いというわけではない。Oohlalaは、大学ごとにカスタマイズされた学生向けのアプリを使って、これまでに何百という大学の現状を変えてきた。同社はさらなるビジネスの拡大に向けて、シリーズAで400万ドルを調達したと本日発表した。
さまざまなウェブサイトやサービス、アプリが重なり合った各大学のオンラインサービスを考えると、生徒やスタッフがOohlalaのプロダクトに魅力を感じるのも理解できる。このサイトで授業に登録して、別のサイトでスケジュールを作って、あれは公式アプリだと上手くできない、予定より1時間早くTwitterに情報が公開されてしまった、など大学が抱える問題の例を挙げればきりがない。
「学生からすると、大学のオンラインサービスはとても複雑で、各機能がいろんな場所に散らばってしまっているという印象を受けます」とOohlalaのファウンダー兼CEOであるDanial Jameelは、TechCrunchとの取材で語った。
彼はトロント大学在学中に学生生活課に勤めており、1万5000人の新入生に対して点在するリソースをまとめて説明しようとしていた。全ての情報が一か所にまとまった学生向けプラットフォームがない状況では、新入生が困ってしまうのも仕方がない。
お金のやりくりや授業の課題、教授からのフィードバックのためのサービスを今の段階で改革する価値はそこまでない。しかしネットワーキングや、食べる場所、落とし物のチェックなど、それ以外に学生がすること全てをカバーできるようなサービスがあればどうだろうか?
もともとOohlalaは学生生活のソーシャルな面に力を入れていたが、それ以外にも学生が困っていることはたくさんあるとすぐにわかった。
「大学で過ごす4年間のことを考えてみると、学生生活とはとてもユニークなものだということがわかります」とJameelは言う。「その間は生活の大半が大学中心になりますからね」
さらにほぼ全ての学生(95〜98%)はスマートフォンを持っており、彼らはカテゴリー別に自分たちの生活を管理している。例えば友人や家族との広域なやりとりはFacebookで、親しい友人はWhatsAppやSnapchatで、デートはTinderで、といった具合だ。Oohlalaはそのようなアプリのひとつとして、学生生活をまとめる存在になることをゴールに設定し、その狙いは大当たりした。
Oohlalaアプリはそれぞれの大学に応じてカスタマイズされており、生徒用の掲示板、教授の連絡先、授業の情報や教室の場所、安全情報、アラートなど、以前であれば十数種類のウェブサイトやアプリ、サードパーティのサービスに散らばっていたであろう機能を一手に備えている。私自身このようなサービスが在学中にあったらきっと喜んでいたことだろう。そしてもちろんITや運営を担当している部署は、アプリ経由で有用なデータを手に入れることができる。
世界8ヶ国、200校で利用されているOohlalaは、既に黒字化を果たしている。昨年の間に会社のサイズは3倍に成長し、顧客の3分の2が同社と3年契約を結んでいる。ではなぜ資金調達が必要だったのか?
「業界のリーダーになる上で、私たちは今いい位置にいると思います。実績は積み上がっていますし、利益も出ていて、YCのパートナーからも『そろそろ次のステップに進んでもいいんじゃない?』と言ってもらいました」とJameelは話す。
今回調達した400万ドルという金額にはちゃんと背景がある。Oohlalaはもっと大きな金額を調達することもできたが、これまでも同社は必要最低限の資金で上手くやりくりできており、社内に出来る限り多くの株式を残しておきたいという思いがあったとJameelは言う。
またVCの活動があまり活発ではない一方、生活費も低く抑えられるトロントで起業したことをJameelは誇りに思っている。「私たちはゴキブリのように生活していました。資金が限られていたので、確実に儲かるビジネスモデルをつくらなければいけなかったんです」
「正直言って、資金調達を行った1番の理由は投資家でした。人とのつながりも大事ですからね」と彼は続ける。なお、University Venturesが中心となった今回のラウンドには、Joe MontanaのLiquid 2ファンドやCheggのファウンダーのOsman Rashidが参加していた。さらにOohlalaは、MacmillanのM&A部門の社員を取締役として迎えており、エドテック業界にいる同社にはうってつけの人材だ。
しかし投資家が特に魅力を感じたのは、学生同士の交流の促進や、スケジュール管理の簡素化といったOohlalaの機能ではない。
「教育界で1番大きな問題は効率性です」とJameelは言う。「他社のアプリは、本当に生徒の成績に結びついているのでしょうか?」
Oohlalaを利用する大学は、エンゲージメントやリテンションなどの観点からアプリの効果を計測している。Oohlalaもある学部で調査を行い、セメスターごとにアプリを使っている生徒と使っていない生徒の様子を比較(補正済み)したところ、アプリを使っている学生の方が中退率がかなり低いという結果が出た。
「ただアプリを使っているから中退しない、と言っているわけではありません。」とJameelは話す。「一方で、私たちは学生に必要なツールやサポートを提供しています。彼らはモバイルファーストの世代なので、アプリこそが効果的な手段だと考えています」
マイナス面はほとんどなく(もしかしたら、また別のサードパーティーに生徒を管理させることに対して慎重な大学もあるかもしれないが)、学生生活の快適さをユーザーエクスペリエンスや使いやすさと対等に扱うようなサービス内容で、Oohlalaはうまく要点をついたようだ。今回の資金調達によって、学生のニーズにあった(そして彼らにふさわしい)現代的でモバイルファーストな大学生活用のアプリはもっと広まっていくだろう。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)