大量高速なデータストリームをリアルタイムで分析/視覚化するGPU駆動インメモリデータベースKinetica

Kineticaの企業としてのルーツは、アメリカの諜報部門のための2009年のコンサルティングプロジェクトまで遡る。テロリストをリアルタイムで追尾するという、そのときの軍やNSAの厳しい要求を満たすソリューションを市場に見つけることができなかった同社は、それを自分で作ろうと決心した。今日の同社は、インメモリのデータベースソリューションがメインのプロダクトで、それは、NVIDIAのGPUを使って処理を加速する一般市販のハードウェアを使用する。

そのアイデアがシリコンバレーの多くの投資家たちに受けて同社は、大枚5000万ドルのシリーズAを調達した。

同社は、初期の諜報機関向けのソリューションのパワーを、そこらの誰もが利用できるようにしたい、と考えている。データベースをGPUが動くチープなハードウェアの上で使うと、コストを低くでき、同時に当時のソリューションの高速性を享受できる。CEOで協同ファウンダーのAmit Vijによると、そのソリューションは従来のデータベースの100倍速く、しかもハードウェアの費用は1/10だ。

この価格性能比が投資家たちの関心を惹き、今日のラウンドはCanvas Ventures とMeritech Capital Partnersの共同リードに、新たな投資家としてCiti Ventures、そしてこれまでの投資家GreatPoint Venturesが参加した。

GreatPointの投資を決めたRay LaneはOracleの元役員で、データベースの技術には詳しい。その彼によると、このところデータの量と回転率は急速に増加しており、とくにIoTの貢献要因が大きい。そして、これまで主に顧客やサプライヤーからのトランザクションデータを扱ってきたレガシーのデータベース技術は、今日のデータ量の増大に追随できなくなっている。

“今日のチャレンジは、私が“外部的”(external)データと呼んでいるものだ。その量は膨大で、しかもほとんどが非定型、そしてリアルタイムのストリームだ。センサーやスマートデバイスから、絶え間なく大量のデータがやってくる。頭上のドローンから画像が来る。ソーシャルメディアのフィードもある。Kineticaは最初から、これら多様なデータ環境のリアルタイム分析と視覚化を目的として構築されている”、とLaneは語る。

NSAの長官だったKeith Alexanderによれば、彼の組織は2009年にKineticaのファウンダーたちに、たいへんな難題をぶつけた。しかし、“彼らはその機に乗じて、今日のKineticaデータベースプラットホームの前身を開発した。そのほかの商用やオープンソースのソリューションはすべて、そのミッションの目的を満たさなかった”、とAlexanderは声明文で述べている。

Vijの説明では、同社が提供するのはソフトウェアソリューションであり、NVIDIAのGPUが動くハードウェアは、IBM、HP、Dellなどのパートナーが提供する。またAWSやAzure、Google Cloud Platformなどの、GPUを利用するクラウドでも動く。

Kineticaの当初の顧客リストには、GlaxoSmithKline, PG&E, US Postal Serviceなどが名を連ねている。同社はOracleやSAP HANAなどの従来のデータベースベンダーと競合するが、同社によるとそれらは費用が高くてしかもGPUを使っていない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。