Karen X. Chengは、若いころから、自分がやると決めたことは何が何でもやりぬく頑固者だった。
まず中学生のときは、クールな男の子たちが自分の人差し指の先端でノートブックを独楽(こま)のように回しているのを見て、自分もできるようになるまで練習をした。
次があの、滑稽な退社ビデオだ。彼女はそのYouTubeビデオの上で、“Bye, Bye Miss American Pie”の替え歌を歌いながら、Microsoftのプログラムマネージャの仕事を辞める、と宣言した。その次は、フルタイムの仕事をしながらUIデザインを独学し、Justin Kanの便利屋スタートアップExecの正社員デザイナーになった。
そして1年あまり前、今度はダンスに飛びついた。ダンスに取り付かれた彼女は、一日に何時間も練習し、プロの人気ダンサーやロボットダンサーのレッスンを受けた。最初は、見るのがつらいぐらい下手だったが、だんだん進歩した。
彼女はこう書いている:
“今私のダンスを見た人は、長年ダンスをしていると思う。このビデオを作ったのは、1年前の私がどんなにみっともなかったかを、実際に見ていただきたいからだ。
私の短期上達の秘密は: どこにいても練習すること。バス停でも。スーパーでレジの列に並んでいるときでも。仕事中でも…右手でマウスを使いながら左手は手の動きの反復練習をする。猛練習を何年もしなくても、ダンサーになれる。ただし、練習する意志があることと、ハングリー精神を持ちつづけること。”
彼女はその経験を記録したビデオ”Girl Learns To Dance In A Year”(一年でダンスを覚えた女の子)をリリースし、その評判がヴァイラルに伝わり、ビュー数が350万に達した。
毎日何百通ものメールが飛び込んでくるようになった。シカゴの50代の女性Cynthiaは、多発性硬化症になってから、再び歩けるようになるまでの苦闘を書いてきた。
そこから、アイデアがひらめいた。誰もが、自分の学習過程を正直に透明に開示したらどうなるだろう? 偉大なアーチストやダンサーでも、そうなるまでの出だしと過程があったはずだ。
でもまわりのスタートアップたちを見ていると苦労が多そうなので、Chengは何年も起業という考えには抵抗していた。
“いつも、私なら絶対に会社は作らない、と決めていた。余計なストレスが多いし、楽しそうには見えない。でも、このアイデアがひらめいたときは、スタートアップを始めなきゃだめだ、と思った”、と彼女は言う。
そこで彼女はもう一人のエンジニア、Execの同僚だったFinbarr Taylorと組んで、GiveIt100〔直訳: それに100日を与えなさい〕を始めた。
それはビデオコンテンツを提供するサイトで、誰もが新しいスキルを学習する過程のドキュメンタリーを作れる。レースカーの製作でもよいし、自分の体を楽器にして演奏する、でもよいし、一輪車に乗れるようになるでもよい。
サイトはユーザのまじめな献身を求める: 毎日の進歩を見てもらうのだから、毎日短いビデオをアップロードすること。モンタージュなど編集ものでもよい。各ビデオには、見た人たちからのコメントが寄せられる。
シカゴのCynthiaの、再び歩きたいは、70日目を迎えた。最初は、足(脚)用のバーベル(レッグウェイト)で脚の筋肉を鍛える。それから、玄関を歩く。最後には屋外の公園の中を歩く。
Chengによると、YouTubeは視聴者が完成した作品を求めるので、このような日常的コンテンツには適していない。
“ここは、失敗や間違いが歓迎され、許される場所だ”、と彼女は言う。“ギターで間違えてばかりいるビデオをYouTubeに投稿したら、嫌われるだけだ。でもここなら、間違いも進歩の一部だから許される。ここに来る人は、うまくなった人の名演奏を聞きたいのではない”。
サイトはまだ幼児期で今週ベータを終えるところだが、商業化についてChengにはいろんなアイデアがある。広告は、ゲーム化したり、ユーザの進歩とともにディスカウントセールがあってもよい。コンペやコンテストをやって、スポンサーが賞品を出すのもよい。また、教師や指導者を求める場合には、それを人材のマーケットプレースにしてもよい。
彼女によると、GiveIt100に来るような人は、練習をまじめに毎日やるタイプの人だから、ビデオの連日投稿もOKだ、と。
“私が作りたいのは、偉業の背後にある苦労を全部見られる場所”、と彼女は言う。“今みたいに、Michael JordanやZuckerbergのような完成された形ばかり見たってしょうがない。しかし、この二人のスーパースターも、彼らの初めのころの苦労や勉強や練習にこそ、人が見る価値があるのだ。きれいな最終的な完成形は、どーでもいい”。
“彼らがどうやって始めるのか、始めたのか、を見せたいのよ。今日のこのサイトの上で、明日のMark ZuckerbergやTiger Woodsになる人の努力の姿を見たい。そういうものにこそ、人びとが見る価値がある”。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))