契約書の作成から締結、管理までを1プロダクトで効率化する「NINJA SIGN」がローンチへ

リーガルテック領域で複数の事業を手がけるサイトビジットは11月25日、ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN」の正式版を12月9日にローンチすることを明らかにした。

同サービスは“ワンストップ電子契約サービス”を謳っている通り、契約書の作成からレビュー、締結、管理まで「契約書にまつわる一連の業務を1プロダクト上で効率よく進められる」のが大きな特徴。従業員数が50人〜数百人ほどの中規模企業を最初のメインターゲットとして、そのような企業が抱える契約書の悩みごとを解決することを目指していく。

NINJA SIGNはもともとサイトビジットが自社で抱えていた課題を解決するべく立ち上げたプロダクトだ。同社では以前既存の電子契約締結サービスを使っていたが、会社の規模が拡大するに連れて扱う契約書の数も増え、それとともに管理や関連するオペレーションの負担が大きくなっていったという。

「契約書の数が増えて探すのが大変になったり、営業部門から法務部門に対して定期的に契約書のレビューや作成依頼がくるようになったり。契約書の作成や締結だけでなく、管理やオペレーションの効率化に対するニーズが出てきた。その要望を直接的に満たすようなプロダクトもなく、もっと使い勝手のいいものを作れるのではという考えから開発を始めた」(サイトビジット代表取締役の鬼頭政人氏)

冒頭でも触れた通り、NINJA SIGNには契約書の作成から締結後の管理まで、各業務に対応した機能が用意されている。

たとえば契約書の作成に関しては、NDAや業務委託契約書など頻繁に利用するものをひな型として登録しておくことで効率的に作成することが可能だ。これだけであれば特に珍しくもないが、このサービスでは契約書作成時に使われることの多いWordファイルをグーグルドキュメントに変換する機能を搭載。予めグーグルドキュメントの変数設定をしておけば(入力項目設定機能)、該当箇所を入力するとその部分だけ置換がされてテンプレ通りの契約が簡単に作れる仕組みも備える。

作成した契約書については個々に任意のワークフローを設定することができるほか、修正履歴が自動で取得される仕様のため誰がいつどのように修正したのかを確認するのも簡単。契約書ごとにコメントを残していく機能もある。

内容に合意して契約する場合には電子署名機能を用いればオンラインで契約締結まで完結。締結した契約書は一括管理ができるので、紙の契約書もPDF化してアップロードしておけば一箇所にまとめておける。これについてはシンプルなクラウドストレージサービスのようなもので、フォルダや契約書ごとに閲覧権限を設定したりといったことも可能だ。

たとえば電子契約締結の領域では導入社数が5万社を超える「クラウドサイン」を含む複数のサービスが存在するし、契約書の履歴管理については以前紹介した「Hubble」のようなものもある。また同じく過去に何度か取り上げている「Holmes」は契約業務全般を最適化することを目的としたサービスのため、NINJA SIGNと方向性が共通する部分もありそうだ。

既存サービスとの違いについて鬼頭氏に聞いてみたところ、特定のフローに特化しているプロダクトに関してはワンストップで全ての業務をカバーしている点が大きな違いとのこと。Holmesとは機能的に似ている部分もあるものの、メインターゲットにしている企業の規模感が異なるので完全にバッティングするとは考えていないようだった。

そもそも全体で見ると契約締結にしても契約書の管理にしてもオンライン化が進んでいるのはごく一部であり、今からでも十分チャンスがあるというのが鬼頭氏の見解。特に初期段階では中規模の企業の課題にフォーカスして、それを解決する機能を優先的に拡充しながら顧客を開拓する計画だという。

また料金プランについてはフリーミアムモデルを採用し、無料プランも含めて4つのプランを展開する方針。1つ特徴と言えそうなのが電子契約については既存のサービスが月額+従量課金型にしている一方で、NINJA SIGNは締結数に限らず定額制を採っていること。これに関しては「従量課金だと締結時の心理的なハードルが上がるため、ここを気にしている人も一定数いるのではないか」(鬼頭氏)との考えからそのような仕様にしたそうだ。

NINJA SIGNは7月29日に先行して無料ベータ版をローンチ。8月末までの約1ヶ月で250社強の登録があったという。今後は有料版の提供開始とともに本格的な事業拡大に向けて、北村晴男弁護士を起用したタクシー広告・映画幕間の広告を配信していく予定だ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。