女性創業者グループによる女性起業家支援

テクノロジーのスタートアップシーンが男性の創業者や投資家によって席巻されていることは広く知られている。もしお疑いなら、2017年の数字を見てみよう。Crunchbaseによれば女性起業家を擁する企業はわずか17%に過ぎない。そしてその数字は過去5年間変わっていないのだ。そして、少くとも創業者のⅠ人が女性である企業が、2016年に後期ステージの資金として調達した金額は全体の8%に過ぎない。数字は嘘をつかない。そしてその状況に一石を投じようと、昨年11月に、とある女性ベンチャーキャピタリストのグループが、FemaleFounders.orgを発足させた。

このグループは、ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスの有名な女性投資家たちで構成されている。彼女たちはみな、現状にうんざりしていて、より多くの女性たちに起業を促したいと考えているのだ。マサチューセッツ州ケンブリッジにある、MIT系列の2億ドルのベンチャーファンドであるThe Engineの、マネージングディレクターであるKatie Raeによれば、昨年の#MeToo運動を中心に巻き起こった数々のイベントが、このアイデアを実現に向かわせたのだという。

「私たちの考えはシンプルです。女性の創業者と投資家を結びつけて、強力なコミュニティを作りたいということです。お互いに助け合いたいと願う人たちの緊密なコミュニティに、起業家たちが参加しているときには、信じられないような事が起きるということを、私は何度も何度もこの目で目撃してきました」と、Raeはグループ発足を公表するMediumの投稿に書き込んでいる。

この目標を達成するために、グループは、起業家と投資家のネットワーク構築の第一歩として、起業に興味ある女性たちが雑談をして関係を始めるための、「オフィスアワー」(相談事などを特定の時間/場所で受けること)を設けることにした。

「私たちは理解を深めるための様々なアクティビティを考えました。そのうちの1つは簡単なものです。ただ女性創業者とVCたちに知り合って貰うために、オフィスアワーを提供するという方法です」とRaeはTechCrunchに語った。彼女は、これらはプレゼンを行うためのものではなく、起業家たちに女性投資家たちを知って貰いコミュニティを築くためのものだということを強調した。

写真:Ron Miller

彼女によれば、これまではベンチャーキャピタルの中には、事を起こすために十分な数の女性は集まっておらず、女性たちはVCファームの中でしばしば孤立して働いてきたのだと言う。「残念なことですが、女性のVCたちが任されている金額はとても少ないのが事実なのです。多くの場合彼女はファームの中で唯一の女性VCです。そしてその場合、女性創業者たちを支援することはますます困難になります。他のパートナーたちの利益を守りつつ、なぜ女性創業者たちを支援しなければならないのかを説明しなければなりません」と彼女は語った。

彼女は、しかし、これは単に女性たちだけの運動ではないと強調した。彼女は協力を申し出ている多くの男性同志たちとも対話を重ねていると語る。「予定の一部を割いて、ただ女性起業家たちと会って、理解を広げようとしている男性VCもいます。これらすべての小さなステップが、変化を生み出すのです」と彼女は言う。

そして彼女は、それこそがシステム全体を見る必要がある理由だと語る。「リミテッドパートナーを如何に巻き込むのか?女性VCのために、どのようにより多くの資本を獲得するのか?どのようにより多くの顔出しを行い深い知己を得るのか?」Raeは彼女の世界観はかなりシンプルだと語る「何かを変える力がある場所に、自分の力を注ぎます。私の経験では、物事を積極的に押し進めれば自然と協力者が集まってきます。多くは男性ですが」と彼女は言う。

彼女自身が”The Engine”にいるように、より多くの女性たちがVCに参加してキーメンバーとなっていけば、この流れは自然に永続化できるものとなるだろうと彼女は言う。女性VCたちが女性創業者たちを支援し、その創業者たちが企業を立ち上げて、そして売却し、より多くの資本を得て、さらに多くの女性創業者たちを支援するようになる。

実は最初の交流イベントは、本日(米国時間2月27日)、The Engineのオフィスで開催され、40人の女性起業家たちがFemaleFoundersのボストン在住メンバーたちと朝食時間に集まることになっている。朝食後、いくつかの発表があり、その後グループは分かれて起業家と投資家の間の1対1のセッションが設けられる予定だ。最後に交流のためにまた大きなグループとして集まることになっている。

彼女はこれは出発点に過ぎないと考えていて、この手のアウトリーチを全国に広げ、女性が率いるスタートアップをより歓迎し、支援するシステムを構築したいと考えている。彼女が月に1度の開催を考えているこうしたミーティングは、そのための1手段に過ぎない。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: FRANCKREPORTER/GETTY IMAGES

投稿者:

TechCrunch Japan

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