「好きなアーティストのライブ情報を見逃してしまった」「日程を勘違いして期限内にライブのチケット代を払うのを忘れてしまい悔しい思いをした」
もしライブやフェスが好きで、そのような経験が一度でもあるなら「Freax(フリークス)」というアプリをチェックしてみるといいかもしれない。本日iOS版が正式ローンチされたこのサービスは、お気に入りのアーティストが開催するライブや出演するフェスの情報を見つけ、チケット発売開始時と締め切り前に通知してくれる。
開発元であるSpectraの創業者2人は、高校時代に軽音楽部に所属していたバンド経験者。ライブに出演する立場とファンとして参加する立場の双方を経験する中で感じた課題を解決するべく、自分たちで起業してサービスを立ち上げた。
チケット発売開始時と申し込み締め切り前の通知で見逃し防止
Freaxは好きなアーティストの“ライブチケット情報見逃し”を防止するためのサービスだ。
Apple Musicや端末内(iPhone内)の音楽データと連携することで普段から聞いているアーティストを手軽にフォローし、ライブやフェスのチケット情報を受け取ることが可能。情報は随時アップデートされるほか、フォローしたアーティストの情報はチケットの発売開始時と申し込み締め切り前にプッシュ通知で送られてくるため、ライブ情報の見逃しやチケットの買い忘れを減らすことに役立つ。
チケット情報についてはアプリ内の各ライブページでチェックする。現在はチケットぴあやローチケ、イープラスなどに対応していて、複数サイトの情報を一箇所で閲覧した上でチケットの申し込みもできる(申し込みページへのリンクがあり、チケットの購入は遷移先の各サイトにて実施)。
自分が行ける範囲などエリアに絞ってライブ情報を表示する機能やカレンダー機能に加え、アプリ内の検索画面などから能動的にアーティストをフォローする仕組みも搭載。今後は「Spotify」のようなストリーミングサービスとの外部連携なども計画しているようだ。
個々にマッチしたエンタメ情報を最適な時期に届けるサービスへ
Freaxを運営するSpectra代表取締役の浅香直紀氏と取締役の露木修斗氏はかつて同じ高校の軽音楽部に所属。1学年違いの先輩・後輩という間柄だった(代表の浅香氏が先輩)。2人は大学生時代にもキャリアプラットフォーム「JEEK」などを展開するTechouseでインターン生として働いていたという。
浅香氏は同社を卒業後にメルカリ及び子会社のソウゾウでインターンを経験。最終的には新卒1期生として正式にジョインし、「メルカリ」や「メルカリ アッテ」を含むプロダクトの開発・グロースを担当した。
一方の露木氏は一度Techouseを離れnana musicなど複数社でのインターン経験後にTechouseへと復帰。同社で執行役員も担った後、2018年に浅香氏と共にSpectraを立ち上げている。
以前からいずれは音楽に携わる事業を起こしたいという考えはあったようだが、「ビジネスモデルの推移(CDからライブやマーチャンダイジングへ)」「SpotifyやTikTokなどデジタルサービスを軸に地名度をあげたアーティストの台頭」など業界に大きな変化が訪れていることや、周りのアーティストからデジタルマーケティングの相談を受けるようになったこともあり、今のタイミングでの起業に至ったという。
最初のプロダクトとしてFreaxを選んだのは、自分たち自身がバンドマン・イベンター時代に感じた葛藤と、ファンとしての目線から見た時の課題感を解決するためだ。
バンド時代に「(ライブをやることを)知っていたら行きたかった」と周囲から言われる機会が多く、継続的な集客の難しさを感じていたことが1つのきっかけ。一方で自らも好きなアーティストの情報を追いきれず、ライブやフェスのチケット情報を見逃してしまうこともあり、「情報が届いていない・受け取れないのはアーティストとファン共通の課題では」と考えるようになったという。
実際にアーティストと音楽ファン約100名にヒアリングしてみても同じ課題を持っている人が多かったため、Freaxの開発に踏み切った。
リリース時点の機能はシンプルだが、今後はアーティストに関わる情報をスピーディーかつ最適に届けるための機能拡充などを進める予定。情報過多の時代における「エンタメの情報流通経路の最適化」を目指し、中長期的にはサービスに蓄積されたデータを活用して最適なコンテンツ流通の仕組みを構築することにも取り組んでいく方針だ。
なおSpectraは2018年の創業後にEastVenturesのほか、メルペイ取締役CPOの松本龍祐氏、Fabric創業者の堀井翔太氏、コネヒト代表取締役社長の大湯俊介氏を含む複数の個人投資家から資金調達を実施している。