好調Snapchat、シリーズFで18億ドル調達―取締役会資料で評価額、売上、ユーザー数も判明

2016-05-27-snapchat-money

今週われわれはSnapchatが資金調達中だという記事を書いたが、このメッセージ・スタートアップに関してもっと具体的な数字が判明した。

今日(米国時間5/26)、 証券取引委員会(SEC)に提出された報告書によれば、Snapchatは最新のシリーズFラウンドで18億ドルの資金を調達している。さらにTechCrunchに対して別途提供された同社の取締役会のプレゼン資料によって同社の売上や将来予測に関する情報を得ることができた。

このプレゼン資料によって、ロサンゼルスに本拠を置くSnapchatは2015年の売上が5900万ドルに過ぎなかったものの、巨額の資金調達を進めたことが明らかになった。しかし資金調達に成功した今は、本格的にビジネスを拡大する準備が整ったことになる。

信頼できる情報源がTechCrunchに告げたところによると、18億ドルを調達した最近のシリーズFのうち、11億5800万ドルは1月以降の5ヶ月で順次調達されたものだという。

同情報源によれば、資金を提供した投資家にはGeneral Atlantic、Sequoia Capital、T. Rowe Price、Lone Pine、Glade Brook Capital、IVP、Coatue Management、Fidelityなどが含まれている。

今回SECに提出されたForm D書式では会社評価額を明らかにする必要がない。評価額についてわれわれが聞いた情報は錯綜していた。情報源の説明によると、投資の一部はプレマネー(投資実行前の評価額)で175億ドルだったという。これに18億ドルを加えれば193億ドルとなり、TechCrunchが報じた「ポストマネーで200億ドル」という目標値にきわめて近いことになる。

ただし、この部分についてもわれわれは矛盾した情報をつかんでおり、実際の評価額はもっと低い可能性があった。TechCrunchに記事が出て数時間後にある情報源から接触があり、プレマネーの評価額は180億ドル以下だという数字が告げられた。今回のラウンドのポストマネーの評価額は160億ドルかそれ以下、プラス18億ドルだったという。

異例だが、同時に可能でもあるのは、一部の投資家が異なる会社評価額で出資したというものだ。われわれは大勢の投資家がSnapchat株式を購入するために特別に資金をプールするファンドが組成されたという噂を聞いていた。

同時にSnapchatの資金調達における会社評価額は「動的」、つまり現実に資金が調達される時点での時価総額に基づくということを聞いていた。これは同社の資金調達に多数の投資家が関与し、数ヶ月にわたるところから来たものだろう。つまりシリーズFラウンドというのは、こうした投資をすべて合計した名称ということのようだ。

記憶を呼び起こせば、昨年Snapchatは160億ドルの評価額で6億5000万ドルの資金調達を試みたことが報じられた。SECへ報告書によれば、このうち5億3700万ドルが調達ずみとなっている。Snapchatは残りの額も含めて全額を調達ずみだ。どうやら6億5000万ドルの出資目標額の残り〔1億1300万ドル〕が今回のシリーズFラウンドの最初の部分になったものらしい。

Wall Street Journalは3月の記事で、同社はFidelity(シリーズFラウンドの参加者)からhis round) から160億ドルの評価額で1億7500万ドルを調達したと報じている。この資金調達は今回SEC報告書に記載されたシリーズFラウンドの一部であったようだ〔そのためにFラウンドにおける会社評価額について異なる数字が流れたのだろう〕。【略】

巨額の資金、さらなる成長

Snapchatの会社評価額は〔160億ドルから〕いっこうに伸びていないと批判する意見もあるが、同社自体はそれどころでない成長を遂げている(TechCrunchが200億ドルという会社評価額をあり得ると考えたのもそれが一因だ)。

われわれの情報源はSnapchatに投資を試みたことがあり、同社のプレゼンのスライドをTechCrunchに提供した。この資料にはこれまで公開されたことがない数字が記載されている。

スライドの日付は2015年の末となっている。この時点でのSnapchatの2015年の売上は5900万ドルだった(ただし、同社が収益化をスタートさせたのは2015年の下半期であり、それ以前はまったく収益化を行っていなかったことは記憶しておくべきだろう)。

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Snapchatでは2016年の売上を2億5000万ドルから3億5000万ドルの間、2017年は5億ドルから10億ドルの間と予測していた。

プレゼンの資料によれば、こうした数字の上限は現実の売上に基づく推定ではなく、セールス部門の強気の目標数値だったとようだ。別の理由もあって売上予測は多少割引して聞く必要がありそうだ。それはこうした予測が同社が現に収益化の努力を始める前の予測であるという点で、広告やDiscoveなどのプロジェクトを始めるとそれなりのコストがかかることが判明した。

資料はまた2015年12月の1日あたりアクティブ・ユーザー〔DAU〕は1億1000万人だとしている。前年同期が7400万人なので50%弱の成長を遂げたことになる。

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もちろん今は2016年の5月であり、現在のDAUの数字は不明だ。しかしSnapchatは最近も目覚ましいスピードで機能を追加しており、ユーザーはテキストだけでなくビデオや音声をさまざまに処理して友達と共有できるようになっていえる。

たとえばke カメラロール中の写真の顔を別の顔と入れ替えたりビデオ中の動く対象にスタンプを貼り付けたりできるようになた。またさまざまな新機能でサービス全体の使い勝手もすっかりアップグレードされた。【略】

Snapchatではサービス内のビデオの視聴は昨年1年で350%増加し、1日あたり100億回となっていると発表している。またユーザーの3分の2は毎日Snapchatの提供する機能を利用してビデオ・コンテンツを作っている。

今回の資金調達に関連して取材した投資家は、こうした精力的な新機能の追加は「この会社のもっとも魅力的な点のひとつだ」と認めた。投資家の1人は「誰にとっても1週間は168時間しかない。 一般ユーザーのインターネット利用を考えると、1人のユーザーが繰り返し使うプロダクトはせいぜい5種類から7種類くらいだ。それ以上使う『帯域幅』はない」と語った。この投資家によれば「Snapchatはすでに一般ユーザーが繰り返し使うプロダクトの一つとしての地位を確立しており、しかもその成長は始まったばかりだ」とした。

この記事の取材にはMatthew Lynleyが協力した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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