新型コロナウイルスのパンデミックの中、世界中の両親は子供の自宅教育の責任を持たされて苦労している。家庭で子供にリモート教育を与えるプロセスを容易にする、いわゆるホームスクーリングのアプリが投資家の注目を集めている。
ホームスクーリングのスタートアップであるPrimer創業者のRyan Delk(ライアン・デルク)氏によれば、ホームスクーリングには双方向で対話可能かつ多様な機能を備えた「フルスタックのインフラ」を用意しなければ家庭におけるメインストリームのサービスとならないという。
デルク氏のスタートアップはこのほどFounders Fund がリードしたラウンドで4億円のシード資金を調達したことをTechCrunchに明かした。ラウンドに参加した他の投資家にはVillage Global、Naval Ravikant(ナバル・ラビカント)氏、Cyan Banister(サイアン・バニスター)氏などの著名なエンジェル投資家が含まれる。
2016年に米国でホームスクーリングを受けていた子供たちは240万人に過ぎなかった。デルク氏は、ホームスクーリングがほぼ全員に拡大した現在、両親が利用できるインフラがまったく提供されていないことにショックを受けている。「私自身、幼稚園から中学2年生までホームスクーリングで教育を受けた」とデルク氏は懐かしむ。
Primerはあくまでプラットフォームであってそれ自身のカリキュラムは提供していない。 少なくともこれまでのところPrimerは保護者がさまざまなホームスクーリングのカリキュラムになじみ、理解するのを助けるツールを構築してきた。
PrimerがリリースしたNavigatorは、州の基準を守りながらホームスクーリングを受けさせるためにどういう手段があるかをチェックするための無料ツールだ。そして Libraryは、ホームスクーリングを実行するにあたって参考となるマニュアルや資料をを集めたデジタル図書館。
昨年末にこれらのナビゲーションとライブラリのリリースした後、Primerは次のプロダクトの開発をスタートさせた。これはホームスクーリングを行う両親が参加できるオンラインコミュニティのためのツール群となる予定だ。このコミュニティは米国の新学期に合わせて8月にスタートする。5種類から7種類のテーマを考えており、「ロケットからチェス、クッキングまで幅広いトピックを扱いたい」とデルク氏は述べた。各クラスは専門家が指導し、子どもたち同士でも交流できる。Primerではまだ料金は決定していないが、クラスへの参加は月極めのサブスクリプションとなる予定だ。
米国時間5月12日、Primerはこのサービスのウェイティングリストを立ち上げた。興味ある保護者はPrimerのサイトでメールアドレスを登録できる。デルク氏はブログ記事で「来年は保護者が優れたホームスクーリング体験を与えるために必要なサービスをさらにいくつか増やしたい」と書いている。
同氏は、パンデミックが収束して自宅隔離が解除されても、ホームスクーリングは大規模な成長が続くと確信しており、「ホームスクーリングを体験した保護者の一部はこれが長期にわたる教育としても適切な手法だと考えるはずだ」という。Primerのチームが開発しているプロダクトの多くは一般の両親にとってはまだかなり高度であり、ホームスクーリングのように誰もが利用するサービス向けではないという。
「ホームスクーリングは個別性が高い。我々は問題を実践的に解決していく。Primerは『子供たちをiPadの前に毎日6時間しばりつけておく』ようなプロダクトは作らない」と同氏は語った。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)