「子供が起きていたら、あなたも起きていることになる」。Moshiの創業者でCEOのIan Chambers(イアン・チェインバーズ)氏はそう語る。
大人の間ではマインドフルアプリの人気が高まっているが、Moshiはマインドフルネスと瞑想のテクニックを子供に利用してもらうためのアプリだ。米国時間4月21日、MoshiはAccelが主導したシリーズBで1200万ドル(約13億円)を調達したと発表した。このラウンドには、LocalGlobeの姉妹ファンドでシリーズB以降を支援するLatitude Ventures、Triplepoint Capital、MTVのCEOだったBill Roedy(ビル・ローディ)氏も参加した。
今回の資金調達に伴い、Latitude VentureのJulia Hawkins(ジュリア・ホーキンス)氏がMoshiの取締役になった。
Moshiはもともと、Calmの創業者でCEOのMichael Acton Smith(マイケル・アクトン・スミス)氏が創業したMind Candyから生まれた。同氏はMoshi Monstersという子供向けオンラインエンターテインメントプラットフォームを作った人物だ。2015年に同氏はCalmを創業するためにMind CandyのCEOを辞め、チェインバーズ氏が後任となった。その後、2017年にMoshiを開発、公開し、Mind CandyはMoshiとリブランドした。
Moshiは子供が眠れるようにするアプリだ。このアプリでは150種類近くのオリジナルコンテンツを提供している。このうち80種類は、同社がオリジナルで制作した30分間の寝かしつけ用物語だ。オリジナルコンテンツ制作を指揮しているのは最高制作責任者のSteve Cleverley(スティーブ・クレバリー)氏だ。同氏はMoshi Monstersが英国アカデミー賞を受賞したときの作家で、アプリ内コンテンツの著作、作曲、制作を担当している。
Moshiの寝かしつけ用物語は、すべて同じような構成になっている。ナレーション、歌、そしてBGMだ。物語は細部にまで配慮して丁寧に作られている。例えばこのアプリで最も人気のある物語のひとつ「Mr. Snoodle’s Twilight Train」では、物語全体にわたってバックグラウンドに「シュッシュッポッポ」と汽車の音が流れている。子供を安らかな眠りに導くために、この効果音は子供の安静時の平均心拍数と同じテンポになっている。
またMoshiは、このプロジェクトに有名人の協力を得ている。女優のGoldie Hawn(ゴールディ・ホーン)や俳優のSir Patrick Stewart(パトリック・スチュワート)がナレーションを担当しているほか、声優も参加している。
このアプリでは、保護者がオリジナルのプレイリストを作ったり、「慌ただしい心に」などテーマごとのプレイリストを選んだりすることができる。
Moshiには睡眠だけでなく、休憩のときや不安を感じたときなど、1日中使えるマインドフルネスのコンテンツもある。
Moshiは最初の1週間は無料で試用でき、その後は年額40ドル(アップルの日本のApp Storeでは3700円)のサブスクリプションがある。6種類のコンテンツは誰でも無料で利用できる。
サブスクリプション利用者は10万人を超え、物語は8500万回再生された。チェインバーズ氏はTechCrunchに対し、全ストーリーの70%が完成していると述べた。
Moshiは今回調達した資金で、睡眠関連の専門家や科学者と協力して新しい機能やコンテンツを開発する計画だ。また、マーケティングや広告、提携により、さらなるユーザー獲得も目指す。
「朝、私が目覚める理由は、決まり文句のように聞こえるかもしれないが、フィードバックだ。フィードバックは、家族の生活を向上させ健康と幸福に良い影響を与えるために我々がどのように役立っているかを語るヒューマンストーリーだ。それが我々の心をかきたてる」と同氏。
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(翻訳:Kaori Koyama)