Cansellは8月4日、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」(エルカノ)の事前登録を開始した。サービス開始は9月を予定している。事前登録で5000円ぶんのポイントをプレゼントするキャンペーンを実施するほか、GoToトラベルキャンペーンにも対応を予定とのこと。
また、宿泊施設の掲載も本日より募集開始する。同社とこれまで取引があった宿泊施設に対しては先立って案内を進めており、すでに一定数が参画を決定しているとのこと。
同社は2016年1月設立のスタートアップ。主力事業はこれまで、社名からも想像できるように「キャンセル」に特化した内容だった。ホテル予約の売買サービス「Cansell」を運営しており、ホテルの宿泊予約をした人がやむを得ずキャンセルしなければいけないとき、その宿泊権利を他のユーザーに売却できるサービスを展開していた。
売却するユーザーは、通常通りホテルに宿泊代金を支払うが、Cansellを使って宿泊権利を売却して代金を受け取ることで、トータルの負担額を減らすことができる。また、購入者は通常より安い料金でホテルに泊まれるというメリットがある。
しかし現在、新型コロナウイルスの感染拡大と消費者の自粛傾向が強まり、観光・宿泊業界は壊滅的な打撃を受けている。そもそもの宿泊人数が減っているうえ、海外から観光客の長期滞在なども当面見込めない。Go Toトラベルによって少し持ち直した業者は出ているが、1日あたりの感染者数だけを喧伝するマスコミやワイドショーの風潮も相まって、終了期間は決まっていないながらもGo Toトラベル自体のイメージは地に墜ちている。
生き方、働き方、知識不足、思考停止、緊急事態など個人のさまざまな事情はあるものの、十把一絡げな自粛ムードをマスコミやワイドショーがこれ以上醸成してしまうと、コロナ禍で2020年第2四半期(4〜6期)にすでに大打撃を受けている観光・宿泊業界は、年内にも多くの業者が操業停止や廃業に追い込まれてしまうだろう。となると、ワクチンや特効薬の開発が進んで新型コロナウイルスの蔓延が終息しても、業界自体の復興に相当な時間かかり、さらにチャンスを逃してしまう。いま観光・宿泊業界にとって必要なのは、なんとかして持ちこたえるための施策と、それに賛同してくれる消費者だ。
Cansellは観光・宿泊業界のコロナ禍問題を打開すべく、従来サービスをベースにしながらも切り口の異なる新しいサービスを開始した。それがテレワーク・ワーケーション需要を取り込むことだ。コロナ禍で大手企業やネット企業、スタートアップ企業ではテレワークがさらに浸透しているが、一方で自宅に仕事場を確保できない、そもそも自宅で仕事したくないというニーズも高い。夏休みの旅行が自粛ムードで中止になった家庭もあるだろう。
同社こういったニーズに着目して、ホテルに長期滞在してテレワーク・ワーケーションにい使うという需要を喚起するため、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano」をリリースすることになった。特徴は、長期で旅行や出張、ワーケーションで宿泊施設を予約する際に、予算などを直接宿泊施設にリクエスト・予約できる点。
各腫ホテルの予約サイトなどでは、長期滞在時であっても通常の1泊の宿泊代金×滞在日数と掲載されてしまうケースが多い。そのため、長期滞在プランがあらかじめなどが用意されていないと、なかなか手を出せない料金になってしまう。一方でコロナ禍のご時世、宿泊施設にとっては長期滞在してくれるなら、多少安くても泊まってほしいニーズがあるのも確か。
Ellcanoでは、宿泊希望者から予算などの希望条件を宿泊施設に直接リクエストできるようにすることで、双方が納得できる料金・条件での長期滞在を実現する。具体的には、3泊以上の長期滞在に特化、予算はリクエスト形式、複数の施設に一括リクエストという特徴がある。目的地が決まっている場合は、場所と予算、滞在日数を伝えるだけで複数のホテルなどからマッチングしてくれる。
体調管理、マスク着用などの感染対策を施したうえで、到着後数日はホテルや旅館の館内や食事を楽しみつつテレワーク、感染症の症状がでなければソーシャルディスタンスを意識して観光という、働き方、楽しみ方も生まれてくるのはないだろうか。