将棋AI開発のHEROZが空間制御システムを竹中工務店と共同開発へ

HEROZは6月5日、同社が開発したAI「HEROZ Kishin」を利用した空間制御システム「Archiphilia Engine」(アーキフィリア・エンジン)を、竹中工務店と共同開発することを発表した。これに伴い、竹中工務店が設計・施工を担当した「EQ House」(イーキュー・ハウス)プロジェクトにおいて実証実験も開始する。

Archiphilia Engineとは、空調や照明のオン/オフ、室内温湿度など、これまでは設備管理員が手動でスケジュール設定していた作業を自動化するもの。センサーから取得したビッグデータとAIによって、運転条件を自動的に最適化し、省エネルギーや省人化を実現するという。入居者の好みや快適性といったフィードバックデータを学習し続けることによって、入居者にカスタマイズされた室内環境の提供も可能になる。

なおArchiphilia Engineは、竹中工務店がサービスを提供中の「ビルコミュニケーションシステム」(ビルコミ)によって収集・保存されるデータを「HEROZ Kishin」と連携させることで実現している。ビルコミは、各種ビル管理サービスをクラウド上で実現可能にするサービス。HEROZ Kishinとは、将棋AIの開発で培われた技術を発展させたもので、将棋や囲碁などの頭脳ゲームの解析はもちろん、文章作成、分類、予測、異常検知などのエンジンとしても使える。

東京・六本木にある。メルセデス・ベンツ日本と竹中工務店のコラボによって建設された「EQ House」。2019年3月13日より約2年の期間限定で一般に公開されている

EQ Houseとは、入居者や環境情報をリアルタイムに把握するための環境センサー、人感センサー、ウェアラブルセンサーといった各種IoTセンサーが配置されている建物。マンションやオフィスビル、校舎、礼拝堂などさまざまな建物に導入されている。

今回の実証実験では、EQ Houseから取得できるIoTデータに加え、照明システムや空調システム、I.SEMなどの建物設備システムから得られたデータをクラウドに収集し、「Archiphilia Engine」を介して処理・学習することで、高度に設備制御された空間を実現するという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。