トランプ大統領の「今年中は給与税をゼロにする」という大盤振る舞いの約束はビジネスにバラ色の楽観的なメガネをかけさせる効果があったようだ。
米国の株式市場は売り一色の惨状から一転して回復基調となった。主要インデックスは引けにかけて軒並み上昇した。昨日の下落を帳消しにするほどの値上がりではなかったが、右肩上がりに慣れていた市場にとっては正常への復帰に近かった。
値動きが平常なときであれば驚くべき上げ幅だが、今日はダウ平均が4.89%、1167.1ドルもアップし、S&P 500は4.94%(135.7ドル)、Nasdaqは4.95%(393.6ドル)とそれぞれ上げた。
ところがBessemer-NasdaqのCloud Indexによると、SaaS・クラウド株は3.1%しか戻していなかった。つまりNasdaq全般のアップに遅れを取っている。SaaS、クラウド関連株の昨日の下落(率)が他カテゴリーよりもよりも大きかったうえに、回復も遅れている。 SaaS・クラウド株はここしばらく新しいソフトウェア企業の代表として株式市場でリーダーを務めてきたが、ここにきて株価の調整が入っているかもしれない。SaaS・クラウドプレミアムは低下する可能性がある。
しかし乱高下は広い範囲で続いており、bitcoinは底を打ち、石油も急上昇した。それでも株式市場は高値までは回復していない。ダウは15%安で、今日回復する前に52週の安値を付けている。 S&Pも最近付けた52週の高値と比べて15%以上ダウンしている。Nasdaqはこれよりわずかに大きくダウンし52週の高値から15.2%安だ。
急落を完全に回復するには本日ぐらいの値上がりがさらに数回必要だ。しかも頭上には次のような暗雲が垂れ込めている。ニューヨーク州ニューロシェルに新型コロナウィルスのために検疫隔離施設が設置された。石油、天然ガス企業の債務はひどいものだ。また政府の救済策も具体性を欠いている。
米国時間3月11日の取引では乱高下が収まり、TechCrunchでも我々(WellcomとShieber)が速報を出すのを止めることができるようになることを期待したい。
ちなみにApple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)はそれぞれ1兆ドル企業だ。そのためこの大混乱の中でもテクノロジー株は全体としてはほとんど損失を被っていない。ともあれNasdaqは対前年では12.6%上っている。
画像:monsitj / Getty Images
[原文へ]