ドローンのおかげで、まわりの世界を鳥瞰するのは簡単になったが、それはものごとを見るための視野として、正しくないのかもしれない。日本の広島県が観光宣伝のために作った猫のストリートビューマップを見ると、街(まち)のありふれた視界が、とても新鮮に見える(下図)。しかもそれは、我らが愛すべき、お猫様の視界だ。
このマップの対象地域は尾道市のメインの商店街で、そこは人によく慣れたストリートキャット多いことで知られ、観光客の人気にもなり、奥の細道ならぬ猫の細道と名付けられた路地があったり、前足で幸運を招く招き猫の博物館があったりする。
この、猫のストリートビューマップは今のところ日本語だけだが、ミャーオタグと呼ばれるタグをクリックすると、さまざまな観光スポットを教えてくれる。
この猫のストリートビュー(Cat Street View)は、単なる観光マーケティングの仕掛けであることを超えて、テクノロジの進歩でついに、われわれを翻弄してやまないお猫様たちの視界を、人間も見られるようになった、という感動を与える。Webカメラやカラー(襟)カメラ、それにGoProのようなアクションカメラのおかげで猫達は、彼らの愛すべきキャトマ(catma…ドグマ(dogma)の反対、猫独自の世界)を平和裡に広げることができる。
このマップはまた、ドローン市場の急速な拡大に対する、警報でもある。ドローン企業は2015年に1億7200万ドルの資金を調達したと言われ、それは過去3年の合計よりも多いが、でも広島の猫のストリートビューは、ベンチャーキャピタリストたちに、世界を上空から鳥の目で見るだけでなく、目と耳を大地に接近して見ることも重要だ、と警告する。そう、地上20センチぐらいの高さからね。
広島県がWall Street Journalで語っているところによると、このマップはGoogleのStreet Viewを作った人たちが作り、それと同じ機材を使用した。次のバージョンでは、猫達が、トイレにふさわしい植木鉢や、ベッドとして使える段ボール箱がたくさんある倉庫、とってもおいしそうな食べ残しのあるセレブ猫のお宅などを、見つけられるとよいね。