建ロボテックが鉄筋結束作業を行う「全自動鉄筋結束トモロボ」を開発、年内量産開始を目指す

建ロボテックが鉄筋結束作業を行う「全自動鉄筋結束トモロボ」の年内量産開始を目指すと発表

「世界一ひとにやさしい現場を創る」をビジョンに、ロボットが人とともに働く楽しい建設現場の実現を目指すロボットソリューションの建ロボテックは、7月8日、人の代わりに鉄筋結束を行う協働型ロボット「全自動鉄筋結束トモロボ」の開発を終え、年内の量産機提供開始を目指すと発表した。

建設業界では、人口減少の影響で労働者数が減る傾向にあり、さらに労働時間や休日などの条件が原因で若者の離職率が高いという。しかも2024年4月には「時間外労働の上限規制の適用」が実施され作業時間が短縮されるなど、人手不足の深刻化が心配されている。こうした問題に対処すべく、建ロボテックは、「ロボット本体とともに、ロボットを活用したスマート施工の導入から運用、アフターケアまでの全プロセスに必要なサポートを包括したソリューションを、ワンストップで従量課金制にて提供」している。

なかでも建ロボテックは、協働型ロボット「トモロボ」シリーズ第1段として、鉄筋工事の約2割の工数を占めると言われる鉄筋拘束作業を自動化する「鉄筋拘束トモロボ」を2020年1月から提供を開始した。市販の電動工具をセットして使用する国内初の小型鉄筋結束ロボットソリューションだ。現在約500台が21の企業の56の現場で活躍している。

しかしこれは、1列(レーン)分の鉄筋拘束作業を終えると、人の手で隣のレーンに移動させる必要があり、1人のオペレーターが同時に運用できるロボットは3台が上限だった。そこで、レーンを移動させる際に使われる「スライダー」にセンサーとモーターを組み込んだ「自動スライダー」を開発。トモロボとスライダーとの動作アルゴリズムにより、トモロボは自動でレーンを移動できるようになった。スライダー自身も、次のレーンに移動して待機するという具合に、すべて自動化される。スライダーは、通常の鉄筋をレールとして使用するため、経費も抑えられる。これで「鉄筋拘束トモロボ」が「全自動鉄筋拘束トモロボ」に進化する。10月から量産機開発のための試験運用を開始し、「国内初の現場で実利用が可能な小型全自動鉄筋結束ロボットソリューション」を年内に提供開始する予定。さらに、自動スライダーにトモロボの運用管理機能を搭載さいたオペレーターロボットも、今年中の開発完了を目指している。

レーンを移動させる際に使われる「スライダー」にセンサーとモーターを組み込んだ「自動スライダー」

トモロボとスライダーとの動作アルゴリズムにより、トモロボは自動でレーンを移動できる

トモロボとスライダーとの動作アルゴリズムにより、トモロボは自動でレーンを移動できる

建ロボテックが鉄筋結束作業を行う「全自動鉄筋結束トモロボ」の年内量産開始を目指すと発表

レーンチェンジをする鉄筋の端に「スライダー」が移動し、トモロボの到着を待つ。鉄筋結束作業を終えた後、トモロボは待機している「スライダー」に移動し、スライダーに乗る。トモロボが乗った後、スライダーは次の鉄筋結束作業場所に移動する。これらすべてを自動で行う

「全自動鉄筋結束トモロボ」は、2021年7月14日から開催される「生産現場におけるロボット活用を推進する専門展示会 第4回自動化・省人化ロボット展」で初披露される。

関連記事
PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着で利用可能
10種類以上のセンサーを一元管理可能な現場管理支援SaaS「Canvas」を手がけるIoTBASEが8000万円調達
現場と社内をつなぐビジネスチャット「direct」など手がけるL is Bが12.3億円資金調達
JAXAと鹿島建設が月面有人拠点建設のための遠隔施工実験を実施、好成績を確認
現場監督の業務を効率化する建設現場管理・図面共有アプリ「SPIDERPLUS」が4万ユーザーを突破
キャタピラージャパンが次世代油圧ショベルなどを遠隔操作するCat Commandステーションを2022年発売
助太刀とSORABITOが協業、「助太刀アプリ」上で建設機械の買取サービスを開始
建設現場向け協働型ロボットの「建ロボテック」が資金調達、鉄筋結束作業ロボの進化・他作業の省力化ロボを開発

カテゴリー:ロボティクス
タグ:建設 / 建築(用語)建ロボテック(企業)日本(国・地域)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。