大川佑介氏が18歳のときにクロス職人として建設業界に入り、2000年に独立・創業したユニオンテック(旧・ユニオン有限会社)。創業当初はクロス・床などの内装仕上げ工事が事業の中心だったが、現在では建設会社検索サイト「SUSTINA」や求人サイト「建設求人サーチ」、建設業界向けフリマアプリ「BULDMALL」といったサービスを運営する、テック企業としての一面もある。2016年には東京・新宿にある東京オペラシティの40Fにオフィスを構えるなど、いま急成長を遂げている建設会社だ。
ユニオンテックは今年に入り「CraftBank」というスマホアプリをリリース。依頼者個人と職人個人をダイレクトに結びつける工事マッチングアプリで、依頼者が工事してほしい内容などをアプリに入力すると、その仕事内容を見た職人から申し込みがくる。クロスの張り替え、ドアノブの交換、エアコンや宅配ボックスの取り付けなど、ちょっとした工事をすぐに依頼したい場合に重宝しそうなサービスだ。
CraftBankが画期的なのは、スマホのGPSを活用している点。依頼者は近い場所にいる職人を簡単に探し出して工事を依頼することもできる。職人側からすると、建設現場での空き時間を有効活用して仕事と収入を増やせる。実際の工事は当日に職人が現場で見積もったあとに正式合意となる。工事終了後に依頼者が職人をレーティングする機能もあるなど、Uberの建設職人版といえるシェアリングエコノミーアプリなのだ。
さて、建設業界でこうした新しい取り組みを進めているユニオンテックが9月3日、新体制を発表した。創業者でこれまで代表取締役社長を務めてきた大川佑介氏が代表取締役会長に就任し、代表取締役社長には取締役副社長の韓 英志氏が昇格する。
新社長の韓氏は、リクルートホールディングスでエグゼクティブマネージャーを務めていた人物だ。2005年にリクルートに入社、「SUUMO」事業部に所属し、新組織の立ち上げや投資ファンドの設立などを経験。2015年にリクルートホールディングスが買収したドイツ・ベルリンの飲食店予約サービス会社、Quandooではマネージングディレクターに従事するなど、建設業界では異色の経歴を持つ。今年1月にユニオンテックに参画し、戦略策定や体制構築に進めてきた。
今回の新体制は、大川氏が「10年後の建設業界の未来を作る」という目標を掲げて参入したウェブサービスを中心としたオンラインプラットフォーム事業を、より強化するための人事。大川氏は今回の経営体制強化により「建設テック市場No.1を目指したい」とのことだ。
韓氏は「建設業界は市場規模が約56兆円と非常に大きい一方で、多重請け負い構造から生じる賃金や労働環境など解決すべき問題も多い」としたうえで、「ITを駆使したマッチングプラットフォーム事業により建設業界を変革できるという確信を持った」とのこと。
今回の新体制によって、どのようなサービスが生み出されるのか、期待して待ちたい。