弁当版Uber「bento.jp」がいきなり配送エリア縮小、「予想以上の反響」で多難の船出

スマートフォンで注文してから20分以内に弁当を届けることをうたい、渋谷と六本木のエリアで4月10日にスタートした「bento.jp」。初回無料のキャンペーンを実施した最初の2日間は「1分100個以上」のペースで注文が殺到し、順調に滑り出したようにも見えていた。しかし、一部では配送が遅延して「20分以内に弁当が届かない」といった声も出ていた。これを受けてサービス運営元のベントー・ドット・ジェイピーは14日、配送エリアを渋谷に限定するとともに、弁当の料金を期間限定で800円から500円に値下げすることを発表した。

bento.jpは、iPhoneアプリで住所や電話番号などを事前に登録した上で、「今すぐ注文する」ボタンを押せば、20分以内に自転車で指定の場所に届けてくれるサービス。“弁当版Uber”を目指すというこのサービスはソーシャルメディア上でも話題になっていて、概ね好意的に受け入れられていた。その一方、実際に注文したユーザーが執筆したと思われるブログでは「40分かかって配送された」「容器の下が何かのタレでベトベト」などと指摘されていた。

ベントー・ドット・ジェイピー社長の小林篤昌はサービス開始後2日間を振り返り、「予想以上のオーダーと反響で一部のお客様にご迷惑をお掛けしてしまった」と準備不足だったことを認める。その上で、受注・配送体制を強化するまでの間は、六本木と渋谷を対象にしていた配送エリアを一時的に渋谷区の渋谷エリアだけ(以前配送していた道玄坂は対象外)に絞ることとした。小林は「一気にエリア拡大できる準備を整えるため」と話しており、近いうちに渋谷・六本木以外でもサービスを展開する考えを持っているようだ。

あわせて、弁当の料金を800円から500円に期間限定で値下げする。まだ一度も有料で販売していないにもかかわらず、なぜ値下げをするのか? この点について小林は、次のように説明している。「渋谷エリアを出るまでは、私たちのオペレーションをブラッシュアップする期間と考えている。この期間中も、気軽に私たちのサービスをお試しいただける価格帯にできればと思ったことと、リリース後にエリアを絞ることになってしまったお詫びも兼ね、このような処置とらせていただいた」。

予想以上の反響で多難な船出となったbento.jpだが、小林は「スピードランチの需要はものすごい」と手応えをつかんでいるようだ。将来的には、弁当の配送網を使って他の商材を扱うことも視野に入れていて、「スピードデリバリーの市場を作れる可能性も感じている」という。

とはいえ、現状で弁当の売り上げはゼロ。まずは有料販売がどれくらい伸びるのか注目したい。そして、編集部がある千代田区外神田も対象エリアに加えてほしい。

(文中敬称略)


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TechCrunch Japan

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