ビデオクリエーター、ユーチューバーの収益化の切り札となりつつあるPatreonは3月19日、 一連のメンバーシップ・プランを発表した。
これには提供される機能に応じて3種類の料率が設定されている。Liteプランではビデオグラファーの収入の5%がPatreonの手数料となる。最高料率のPremiumの場合は12%だが、既存のメンバーには割引がある。
TechCrunchが数週間前にスタートさせた有料会員制ニュース、Extra Crunchの記念すべき最初の記事がPatreonに関する調査報道だった。今回の発表はExtra Crunchのメディア担当コラムニスト、Eric Peckhamの考察に沿ったものとなった。PeckhamはPatreonのビジネスモデルについて次のように述べていた。
Patreonの最大の問題は、料金体系が魅力的過ぎることだ。(PatreonのCEO) Jack Conteは、Patreonの現在の料金体系は、同社が維持可能な運営を行うのに十分な収益性がないことを認め、 「手数料の率が低すぎるのだ。われわれは何か考え出す必要がある」と述べている。Patreonの料率はビデオブロガーがファンから収益を得るサービスを提供する他のサイトよりもStripeのような単純なオンライン決済プラットフォームに近い。私が取材したベンチャーキャピタリスト(出資者もそうでない者もいる)からの批判もこの点に集中していた。
明らかにPatreonには新たな収入源が必要だ。当然だが、 同社はその準備を進めている。高い手数料率と引き換えにビデオクリエーターに新たな機能を提供するプランを開発しているという。Conte「料金にふさわしい価値を提供するプラン」と語っている。
PeckhamのExtra Crunchの記事でも、Patreonが新料金プランを発表することは予期されていた。しかし5%、8%、12%という今回発表されたプランは、やはり驚くほど低い率だ。ライバルの料率ははるかに高く30%にもなる。新プランでもPatreonの手数料はライバルのサービスと比べて非常に安い。
そうではあるがメンバーから得る手数料はそれよりはるかに収益性が高い他のサービスへの単なる足掛かりなのだろう。Extra Crunchの記事の結論も同様であり、Peckhamはこう述べている。
新しいプランが中規模のビデオグラファーの関心を集め、Patreon自身のプラットフォームにせよ、Memberfulプラットフォームを通じたものにせよ、メインストリームでトップシェアをもたらすことができるなら、同社の他のサービスはきわめて収益性の高いビジネスとなる。私の取材に対して、Jack Conteは「会員制料金プランはPatreonのビジネスにとっていわば第一幕だ。われわれはビデオクリエーターをターゲットとする多様なビジネスを準備している。単に会員になる以上の価値を生むサービスだ。今後10年でわれわれはそれを実現していく」と述べた。
PeckhamはPatreonがビデオグラファーに提供できる付加価値サービスとしてローンなどの金融機能や健康保険の販売などを挙げている。将来こうした事業を軌道に乗せる助けになるなら現在の低すぎる手数料率も十分にペイすることになる。
今やPatreonはビデオグラファーのエコシステムの中心的存在となりつつある。PeckhamはPatreonの創立過程、プロダクト、ビジネスモデル、事業戦略、ライバル、出口戦略など一連の記事をExtra Crunchに書いている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)